2005 Fiscal Year Annual Research Report
鉄硫黄クラスターの生合成:中間体の形成とアポタンパク質への移行の分子メカニズム
Project/Area Number |
17570112
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 康弘 大阪大学, 理学研究科, 講師 (10154874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福山 恵一 大阪大学, 理学研究科, 教授 (80032283)
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Keywords | 鉄硫黄蛋白質 / 鉄硫黄クラスター / 生合成 / 遺伝子 / 蛋白質 / 分子シャペロン |
Research Abstract |
鉄硫黄(Fe-S)蛋白質は、非ヘム鉄と無機硫黄原子から成るFe-Sクラスターを持つ蛋白質の総称で、構造と機能は多種多様、大腸菌では全蛋白種の3%以上を占める。これらFe-S蛋白質の機能発現において、Fe-Sクラスターの形成は必須である。我々は近年、クラスターの生合成を担う二種の独立したマシナリー(ISCとSUF)を明らかにし、現在、反応メカニズムの解明を進めている。本研究では特にISCマシナリーの心臓部、「Fe-Sクラスター中間体の形成とアポタンパク質への移行段階」に焦点を当てて研究を進め、以下の成果を得た。 1.大腸菌のISCマシナリーについて詳細な遺伝学的解析を進め、新たに、二種類の成分(HscBとHscA)は好気条件では必須だが、嫌気条件では必須でないことを見出した。また、hscBAの欠損をサプレスする変異株(14種類)を解析し、IscU内部のさまざまなアミノ酸置換によって、酸素存在下でもFe-Sクラスター形成が可能になることを明らかにした。 2.上記のHscBとHscAの機能をバイパスする、変異型のIscUタンパク質について生化学的な解析を行い、野生型の構造からは大きく変化していることを明らかにした。IscUはクラスター中間体の形成部位と考えられており、今回の結果は、HscBとHscAが引き起こすIscUの構造変化が、特に酸素存在下でのFe-Sクラスター形成に必須であることを示している。 3.好熱菌Aquifex aeolicusのIscUが意外にもFe-Sクラスター中間体を結合した状態で精製できることを見出し、さらに変異を導入することによって中間体の安定化を達成。結晶化にも成功し、構造-機能解析を進めた。
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