2005 Fiscal Year Annual Research Report
天然林主要構成樹種を主体とした二次林の動態現象の解明に関する研究
Project/Area Number |
17580131
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Research Institution | Nagoya Sangyo University |
Principal Investigator |
西村 尚之 名古屋産業大学, 環境情報ビジネス学部, 教授 (10387904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 進一 名古屋大学, 理事(研究職) (60191409)
原 登志彦 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (80183094)
真鍋 徹 北九州市立自然史歴史博物館, 自然史課, 学芸員 (90359472)
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Keywords | 林分構造 / 群集動態 / 新規加入率 / 死亡率 / 自然撹乱 / 林冠動態 / 長期モニタリング研究 / 大面積調査 |
Research Abstract |
本研究は、亜寒帯林、亜高山帯林、冷温帯林、暖温帯林の4つのわが国を代表する森林タイプにおいて、原生状態の林分の長期モニタリング調査と、それに隣接する原生林分主要構成樹種を主体とする二次林分の長期モニタリング調査によって、原生林の潜在的な動態特性と、発達段階に伴って変化する二次林の動態特性を同時に明らかにしようとすることを目的とした。該当年度においては亜高山帯常緑針葉樹林を対象として、原生林分内の面積2haの永久調査区(原生林プロット)と、それに隣接した皆伐後天然更新した原生林主要構成樹種を主体とする二次林分の面積1haの永久調査区(二次林プロット)において、プロット内に出現した胸高直径≧5cmのすべての樹幹を対象に樹種、幹の生死、位置、階層、胸高直径について再調査を行った。 原生林プロットにおける2000年の生存幹密度は648本/ha、二次林プロットでは2001年に生存幹密度は4986本/haであった。出現本数の多い上位の樹種はどちらもモミ属の2種で、原生林プロットでは、オオシラビソが、二次林プロットではシラビソが最も多かった。林分全体の死亡率を見ると、二次林は原生林より高く、一方、新規加入率は二次林で低かった。二次林では幹密度が高いことが死亡率に、原生林ではギャップ面積が大きいことが新規加入率に影響していると推測された。原生林プロットでは、オオシラビソ、シラビソのモミ属2種の死亡率及び新規加入率とも、トウヒ、コメツガより高かった。二次林プロットでは、オオシラビソ、シラビソ、トウヒの死亡率が他の樹種に比べて高い値を示した。一方で、新規加入率にはほとんど樹種間の差はなく、原生林プロットより低い値であった。以上のように、原生林と二次林の動態特性は異なることが明らかとなり、今後、この動態特性がどのように変動するかについて解明する予定である。
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Research Products
(2 results)