2006 Fiscal Year Annual Research Report
戦後中国北方草原地域における経済・社会の変容と砂漠化問題に関する研究
Project/Area Number |
17580196
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
沈 金虎 京都大学, 農学研究科, 講師 (70258664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加賀爪 優 京都大学, 農学研究科, 教授 (20101248)
小田 滋晃 京都大学, 農学研究科, 教授 (70169308)
浅見 淳之 京都大学, 農学研究科, 助教授 (60184157)
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Keywords | 草原退化 / 砂漠化 / 過放牧 / 草原農業政策 / 経営請負制 / コモンズの悲劇 / 生態環境保護 |
Research Abstract |
本研究は経済改革以降中国草原地域における経済・社会の変容と草原退化、砂漠化との関係、並びに今後の対策について実証的・体系的に研究するものである。今年度では、引き続き既存文献と統計資料を整理・分析したほか、草地経営制度の変化、草原輪牧・休牧・禁牧及びその他草原保護政策の実施状況などに関するアンケート調査と現地聞き取り調査を行った。 これらの調査を通じて、以下のことが明らかにした。 中国の草原退化等の原因は地球温暖化による気候変化にもあるが、最大の要因はやはり農地開墾、過放牧、その他不適切な開発行為にあり、しかもそれらの開発行為は直接に草原の特徴と環境保全の重要性を無視した草原農業政策と結び付いている。例えば、草原過放牧をもたらした原因は、第1に畜産物価格の自由化と需要増加、第2に徹底しなかった草原経営請負責任制(家畜は80年代初に牧民個人に配分したのに、草原使用権の配分は1990年代後半から漸く本格化した)下の「コモンズの悲劇」の発生、第3に政府が草原生態保護投資を怠ってきたことにある。 以上の問題に対処する為、90年代後半から中国政府は請負責任制の強化、草畜平衡並びに草原輪牧・休牧の推進等の対策を講じ始めたが、予算投入と実施範囲は限られ、また草原農牧業の基本を草原経営請負責任制下の個人経営に置き続けているため、現段階ではその効果が現れていない。 草原の環境悪化問題が今日まで深刻化した状況下で、まず草原農政の重心を増産と効率性追求から環境保護にシフトすべきである。また草原退化問題は貧困問題と密接に結び付いていることや、牧場の輪牧・休牧等に規模の経済性が存することを考えれば、草原保護の政府投資の大幅な拡充や、現行の草原経営請負制と草原行政を全般的に、草原生態保護に有利な共同生産組織や地方行政システムを再構築する必要があると思われる。
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Research Products
(6 results)