2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17580197
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
加古 敏之 神戸大学, 農学部, 教授 (00121533)
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Keywords | 政策評価 / 参画と協働 / 農林水産行政 / アウトカム指標 / 事務事業評価 / 目標値設定 |
Research Abstract |
農林水産政策に関する政策評価は、農林水産省では「行政機関が行う政策の評価に関する法律」が制定される前の2000年からすでに開始されていた。また、都道府県レベルでは兵庫県農林水産部における農林水産行政の政策評価が一番早く、2002年に開始された。本研究では農林水産省及び兵庫県農林水産部における農林水産行政の政策評価について、政策評価の現状、評価できる成果、改善方策について考察した。 評価できる成果としては、(1)客観的数量データに基づいて、客観的な方法により評価指標を算出し、評価結果を公表することにより、政策論を客観的に議論しやすくするとともに行政の中身をわかりやすいものにした点がある。(2)施策の企画⇒施策の実施⇒施策の評価⇒施策の改善というフィードバック・システムを円滑に推進する経験を積み重ねることを通して、職員の政策形成能力の向上や意識改革が進み、国民・県民本位の効率的で質の高い行政や国民的視点に立った成果重視の行政の実現が期待できる。 改善すべき点としては、(1)政策評価は客観的データに基づいて自己評価するという特徴をもっている。これらの評価手法は、政策評価会や兵庫県農林水産政策審議会という外部の構成員で構成する委員会における意見を反映させる仕組みとなっているが、まだ官僚的な感覚による政策評価という性格が強く、国民、県民の感覚からは距離がある。(2)農林水産行政の点検指標としてアウトプット指標が多く用いられている。このため事務事業評価が中心となり、県民の満足度を把握できるアウトカム指標が少ない。将来は、アンケート調査等の実施により県民の満足度を把握できるアウトカム指標の利用が、事務事業評価とあわせて行われることが望ましい。(3)アンケート調査の結果、農林水産ビジョンや政策評価に関する兵庫県民の認識は低いことが明らかとなった。この改善が求められる。
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