2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17580197
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
加古 敏之 Kobe University, 農学研究科, 教授 (00121533)
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Keywords | 政策評価 / アウトカム / アウトプット指標 / 事務事業評価 / 参画と協働 / 住民満足度 / 市民参加 |
Research Abstract |
H19年度は、食料自給率を主要なテーマとして政策評価問題について調査研究した。近年、日本の食料供給に不安を感じる国民が増加しているが、その主要な理由としては、食料自給率が長期的に低下し、先進国の中では最低の水準にあることが指摘できる。2000年に策定された食料・農業・農村基本計画は、2010年の食料自給率を45%へ引きあげるという数値目標を設定し、諸施策を展開してきた。こうした国による取組に加え、地方自治体でも食料自給率向上のための施策を展開してきた。しかし、食料自給率は2000年〜2005年問は40%にとどまり改善されなかった。そこで2005年にあらたな食料・農業・農村基本計画が策定され、食料自給率向上が目指されたが、2006年には39%へと1ポイント低下した。 食料自給率を引き上げるという目標が達成できなかった理由として、(1)基本計画策定に際して食料自給率水準を規定する要因に関する考察が不十分であり、政策目標と政策手段の理解が不十分であった。(2)国が示した食料自給率向上スキームを用いて地方自治体が農業者・農業団体、食品産業の事業者、消費者・消費者団体等の関係者に役割を割り振るという構図では目標達成に限界がある。(3)農業生産者にとって供給熱量自給率の向上という目標はあまり魅力のあるものではなかった。 改善点としては、(1)食料自給率水準に影響する要因に関する調査研究を深め、適切な政策手段の選択と政策の実施方法を解明する。(2)農業者・農業団体、食品産業の事業者、消費者・消費者団体等の関係者のより多くの参画をえて食料自給率向上計画を策定し、行政とこれら関係者が協働して目標達成に取り組む。(3)施策を実施した結果、住民の農のめぐみに関する満足度がどの程度向上したかを、アンケート調査等で把握する。(4)より多くの住民が、自分たちの意向が十分反映されたPDCAサイクルで自治体農政が展開されていると感じることできるような、住民参加型の農林水産行政を推進する。
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Research Products
(4 results)