2006 Fiscal Year Annual Research Report
地域在住高齢者の抑うつ頻度とその危険因子-総合的機能評価による縦断的検討-
Project/Area Number |
17590539
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
西永 正典 高知大学, 医学部, 助教授 (50265245)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松林 公蔵 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (70190494)
奥宮 清人 高知大学, 総合地球環境学研究所, 助教授 (20253346)
西岡 弘晶 京都大学, 医学研究科, 助手 (20397540)
|
Keywords | うつ / 地域在住高齢者 / フィールド医学 / ADL / Single question / 質問紙 / 老研式活動能力指標 |
Research Abstract |
【目的】うつ傾向は高齢者のメンタルヘルスを脅かすばかりでなく、地域のプライマリケア医にとっても時に身体疾患の診断を困難にし、時間的、医療経済的にも脅威となる。今回、北海道U町において2年間の追跡をおこない、地域在住高齢者におけるうつ傾向の危険因子を明らかにすることを目的とした。 【方法】北海道U町において65歳以上の地域在住高齢者を対象にSingle Question(SQ)によるうつ傾向の評価をおこない2年後も評価しえた642人(回収率86%、男271、女371、平均年齢74.4歳±7.1)を対象としたコホート研究を行った。このうちベースラインでうつ傾向なしの群466名を、2年後に新規にうつ傾向有りとなった群76名(男28、女48)とうつ傾向に変化がない群390名(男190、女200)の2群にわけてロジスティック回帰分析をおこない、ベースラインでの基本的ADL非自立(歩行、階段昇降、食事、更衣、トイレ、入浴、洗面の7項目;21点満点中20点以下)、老研式活動能力指標非自立(手段的自立;5点、知的能動性;4点、社会的役割;4点、総合点;13点満点中12点以下とそれぞれの下位項目満点未満)、婚姻状況(離死別・未婚)、家族構成(独居)生活習慣(喫煙・飲酒・庭仕事)、疾患(脳卒中、心臓病、骨関節疾患、降圧薬)の有無、視聴覚低下の各項目を独立変数として新規うつ傾向の危険因子を検討した。 【結果】単変量解析において、ベースラインの基本的ADL非自立OR=1.98(95%CI=1.06-3.70)、老研式活動能力指標非自立2.15(1.23-3.75)(下位項目では知的能動性1.96(1.16-3.31)、社会役割の非自立1.85(1.08-3.15))、聴覚低下2.08(1.10-3.93)は新規うつ傾向に有意な危険因子であり(p<0.05)、これらは年齢、性で調整しても有意な危険因子であった。一方、婚姻状況(離死別・未婚)、家族構成(独居)生活習慣(喫煙・飲酒・庭仕事)疾患の有無各項目では有意差を認めなかった。 【結論】2年間での地域在住高齢者における縦断的検討では、婚姻状況、家族構成、医学的状況は新規うつ傾向の危険因子とはいえず、基本的ADL低下、高次ADL低下が危険因子であることが明らかとなった。
|