2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳内移行性アンギオテンシン変換酵素阻害剤によるアルツハイマー病の新規治療法の確立
Project/Area Number |
17590591
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大類 孝 東北大学, 病院, 助教授 (90271923)
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Keywords | アルツハイマー病 / 軽度認知障害(MCI) / 脳内ACE活性 / 脳脊髄液中ACE活性 / 脳内移行性ACE阻害剤 / 認知機能 |
Research Abstract |
認知症疾患の中でアルツハイマー病(AD)の増加は顕著で、その克服は最重要課題である。現在、ADの治療法として主としてコリンエステラーゼ阻害剤が用いられているが、その長期効果には限界があると報告された。一方、これまでの研究により、ADでは脳内のアンジオテンシン変換酵素(ACE)の活性亢進が認知機能の低下に関与するのではないかと言われてきた。本研究で私は、ADの前段階といわれる軽度認知障害(MCI)およびADの初期の患者では、中枢神経系のACE活性が亢進している事および、わが国で使用されている降圧剤の中で、脳内移行性ACE阻害剤(ペリンドプリル)の投与が、AD患者において脳内のACE活性を抑制することにより病勢の進行を抑える事を明らかにし、ADの新たな治療法確立のための基礎研究を施行した。 ものわすれ外来通院中のアルツハイマー病(AD)患者およびADの前段階である軽度認知障害(MCI)患者および健常人から、同意を得た上で脳脊髄液を採取しその中のACE活性を測定し、脳内ACE活性と認知機能障害の関連を明らかにした。その結果、MCIおよびAD患者のACE活性が健常人に比して、有意に上昇している事が明らかにされた(MCI:0.29±0.03IU/L,n=17,AD:0.23±0.02IU/L,n=31,健常人:0.19±0.02IU/L,n=15,p<0.01)。また、AD患者では、脳内移行性ACE阻害剤のペリンドプリル投与によって、脳脊髄液中のACE活性が有意に抑制される事を明らかにした[0.24±0.02IU/L(投与前)vs0.13±0.03IU/L(投与後),n=7,p=0.038](Ohrui T et al.Neurology投稿中)。これらの結果から,本研究におけるAD患者における脳内ACE活性抑制の治療戦略の意義が確認された。
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Research Products
(3 results)