2005 Fiscal Year Annual Research Report
抗ガングリオシド抗体による神経細胞機能障害の機序解明
Project/Area Number |
17590902
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
武藤 多津郎 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (60190857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠 進 近畿大学, 医学部, 教授 (90195438)
山本 紘子 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (20148258)
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Keywords | GBS / 細胞内情報伝達 / チロシン自己燐酸化 / ガングリオシド / GM1 / 中性糖脂質 / MAPK |
Research Abstract |
我々は、これまで神経栄養因子受容体Trkが如何に細胞膜脂質特に酸性糖脂質であるガングリオシドにより機能制御されているかを神経系細胞の培養系から明らかにしてきた.我々のグループの予備的な検討では、GBS患者血清中に存在する抗ガングリオシド抗体が必ずしも均一のものではなく、こうした神経栄養因子受容体機能に全く異なる影響を与え得る可能性を見出している.こうした知見の蓄積のもと、抗GM1抗体陽性の血清を用いこの自己抗体の高親和性NGF受容体であるTrkチロシンキナーゼ機能に及ぼすこれら自己抗体の影響をTrkを過剰発現する我々が樹立した細胞系(PCtrk cells)を用いてスクリーニングした.その結果、1)リガンドであるNGFに対するTrkのチロシン自己燐酸化反応を、抑制する患者群、変化を与えない群、むしろ増強させる群に分かれる事を見いだした.2)この挙動が確かにTrkを始点とする細胞内情報伝達系にも伝わっている事を確認するため、キナーゼカスケードの下流に位置するMAPKへの燐酸化状態を調べたところ、同様に抑制する患者群、変化を与えない群、むしろ増強させる群に分かれた.そこで、各群の臨床的特徴・差異について調べると、抗体価、脱随型、軸索型という臨床的特徴と相関する可能性が示唆された.3)さらに、GBS様臨床症状を示しながら抗GM1抗体陰性の患者について抗中性糖脂質抗体のスクリーニングをするとそれが陽性を示す一群の患者を抽出することが出来た.これら患者には、脳炎様症状と深部腱反射亢進亢進が見られた(Arch Neurol 2005).現在、これら血清についてもその細胞生物学的作用とシグナル伝達系に及ぼす影響についても検討を開始しているところである.
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