2006 Fiscal Year Annual Research Report
抗ガングリオシド抗体による神経細胞機能障害の機序解明
Project/Area Number |
17590902
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Research Institution | FUJITA HEALTH UNIVERSITY |
Principal Investigator |
武藤 多津郎 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (60190857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠 進 近畿大学, 医学部, 教授 (90195438)
山本 紘子 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (20148258)
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Keywords | GBS / 細胞内情報伝達 / チロシンキナーゼ / ガングリオシド / グルコシルセラミド / ガラクトシルセラミド / GM1 / PC12細胞 |
Research Abstract |
我々は、これまで神経栄養因子受容体Trkが如何に細胞膜脂質特に酸性糖脂質であるガングリオシドにより機能制御されているのかを主に脂質ラフトの観点から神経系細胞の培養系から明らかにしてきた.これまでの予備的検討から、GBS患者血清中に存在する抗ガングリオシド抗体は必ずしも均一のものではない可能性が示唆されている.こうした血清は、神経栄養因子受容体機能を異なる方向に制御している可能性を見出している.こうした知見の元に、抗GMl抗体陽性の血清を用い、この自己抗体の高親和性NGF受容体であるTrkチロシンキナーゼ機能に及ぼす影響を我々が既に作成したTrkを高発現する細胞系(PCtrk Cell)を用いてスクリーングした.さらに、今年度は同じ脂質ラフト中に存在する中性糖脂質に対する抗体活性をGBS患者を除く種々の神経疾患患者血清でスクリーニングした.この検討をスムースに行うためサーマルブロッティング法によりPVDF膜に転写した各中性糖脂質を抗原として陽性血清を探索した.その結果、1)リガンドであるNGFに対するTrkのチロシン自己リン酸化反応を抑制するもの、影響を与えないもの、増強させる血清に分かれる事が判明した.2)この受容体レベルでの影響が確かに細胞内に伝わっていることを確認するため、そのキナーゼカスケード中下流に存在するMAPKへの影響を調べた結果確かに受容体レベルでの情報がその下流に伝達されていることを確認した.3)さらに、患者血清の中で活性化させるもの、抑制的に作用するもの、変化させないものの3群の代表的血清を用いて脂質ラフト構造に対する影響を検討した.その結果、こうした血清は脂質ラフト構造をダイナミックに変化させる可能性を見出した(論文作成中).4)ある種の自己免疫疾患に辺縁系脳炎を合併した5症例患者血清に抗中性糖脂質抗体を発見した.さらに、GBS様神経症状を呈した後辺縁系脳炎の臨床像を呈した患者血清にも同様の抗体活性を認めた(一部はArch Neurol,2005で報告した).5)この中性糖脂質抗体は、グルコシルセラミド及びガラクトシルセラミドをPVDF膜上で認識し、実際の細胞培養系でもグルコシルセラミドを認識すること、6)Trkのリガンドに対する反応性を増大させ、NGF単独に比しに明らかにPCtrk Cellからの神経突起伸張反応を惹起させた(FEBS Lett,2006).現在、この新規抗体の詳細な細胞生物学的効果の検討を始めている.
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Research Products
(3 results)