2005 Fiscal Year Annual Research Report
糖輸送が活発に行なわれる細胞膜「ホットスポット」の同定とその機能解析
Project/Area Number |
17590934
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
江本 政広 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (50294640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴 政俊 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (20379960)
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Keywords | 糖輸送担体 / インスリン抵抗性 / TNF-α / インスリン / 脂肪細胞 / カベオリン |
Research Abstract |
筋・脂肪などのインスリン標的臓器において、糖代謝の律速段階は糖輸送のステップであることが知られている。最近の研究よりその糖輸送は細胞膜表面均一に行われているのではなく、特に活発に糖の取り込みが行われている領域(ホットスポット)の存在が示唆されている。細胞表面のマイクロドメインと糖輸送の関係を検討することが本研究の主たる目的である。 そこでまず、膜に接して存在し、糖輸送担体のリサイクリングに関与すると報告されているRme1に注目して研究を行った。Rme1野生型を過剰に発現させると糖輸送担体がカベオリンラフトに集族することを発見した。ダイマーを形成できないG429R mutantでは、カベオリンラフトに入ることはできず、糖輸送担体は細胞表面に長く留まる。今後は、電子顕微鏡や全照射顕微鏡を用いて解剖学的にホットスポットの性質についてより詳細に検討したい。また、カベオリンラフトと糖輸送の関係についても検討を続ける予定である。 次に、糖輸送へのインスリンシグナル経路のキーとなるIRS-1の可視化に成功した。この蛋白は、細胞表面のラフリング部位と数百nmのfociを形成する。このfociを形成するには、少量のインスリンとTNF-alpha(インスリン抵抗性惹起因子)の両方が必要である。この現象は、糖輸送がインスリン抵抗性状態(2型糖尿病の主たる病態)を説明するのに重要な情報を与えてくれる。インスリンシグナルの抑制性調節に関与する膜領域の同定と考えている。本研究の一部は、Journal of Cell Biologyに発表予定である。 また、糖輸送担体に結合可能な蛋白の網羅的な解析からGPIアンカー蛋白を同定した。細胞表面に存在する糖化蛋白であるが、ホットスポットとの関連は不明である。予備的な実験の結果、この蛋白を過剰に発現すると糖輸送担体は細胞膜面に捕捉され、糖輸送が活性化される可能性がある。平成18年度には詳細に検討をすすめる予定である。
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