2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17591229
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
志波 充 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (50178894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 明弘 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 講師 (20320054)
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Keywords | 痴呆 / 認知症 / 脳神経疾患 / 軽度認知機能障害 / MCI |
Research Abstract |
近年,アルツハイマー病に対する研究が進み,新薬の開発やワクチンなどの治験が欧米では行われつつある.わが国でも新薬が使用可能となった時,一般の集団の中から治療の対象者をスクリーニングにより早期発見することが必要であるが,どのような症状の人にどの時期から開始するかが問題となる.わが国で最も利用されている長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)のうち,遅延再生課題がその指標となりうるかについてこの研究をおこなった.我々は1997年に、和歌山県日高町において疫学調査をおこなった。その時の住民総数1644名,65歳以上の高齢者約490人の資料に基づき、調査当時、HDS-Rにおいて24点以上、遅延再生課題(設問7:桜・猫・電車の想起)で3点以下、かつ認知症が無かった群をMIND(Memory Impairment No Dementia)と名づけて抽出した。MINDの基準を満たす対象者は85名であった。その群の8年間の痴呆への移行率を求めた。 これまでの調査で、MIND群85例中、2007年3月6日時点で調査に協力が得られ,終了したものは,48例(56.5%)である.そのうち8年間で認知症に移行したものは8例(16.7%)であり、その下位分類はアルツハイマー型6例(75%),血管性1例(12.5%),その他1例(12.5%)であった.遅延再生課題の得点階層別にアルツハイマー型への移行をみると,0点では1例/2例(50%),1点では4/6例(66.7%),2点では1/12例(8.3%),3点では0/28例(0%),であり特に0点,1点でのアルツハイマー型への移行率はMIND群8例中5例(62.5%)にのぼり,一般人口からの発生率が年間1-2%とすると非常に高い値である。遅延再生課題での低得点は将来のアルツハイマー型認知症を予測する指標となりうる結果が得られたと考えられた。
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