2007 Fiscal Year Annual Research Report
フッ素18標識アミノ酸製剤による新しい悪性腫瘍診断法の開発
Project/Area Number |
17591279
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
阿部 光一郎 Kyushu University, 大学病院, 助教 (00380387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 雅之 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40240907)
金子 恒一郎 九州大学, 大学病院, 医員 (80403947)
磯田 拓郎 九州大学, 大学病院, 医員 (90452747)
本田 浩 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (90145433)
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Keywords | フッ素標識アミノ酸製剤 / フルオロエチルチロシン / PET / 悪性腫瘍診断 |
Research Abstract |
これまでの研究において、我々はPST用アミノ酸製剤であるフッ素18標識フルオロエチルチロシン(以下、F-18FET)の腫瘍への集積が正常臓器に比べて有意に高いこと、正常組織や炎症巣に比べて腫瘍組織に有意に高く集積することを示した。 現在、PETによる悪性腫瘍診断に最も広く使用されているフッ素18標識フルオロデオキシグルコース(以下、F-18FDG)は、炎症性病変への集積や、脳や腸管への生理的集積がしばしば見られ、診断の妨げとなることが知られている。そこで我々は、健常ボランティアにおけるF-18FETの生理的体内分布を計測し、本薬剤の腫瘍診断への応用の可能性を検討した。 文書により同意を得た健常成人男性4名に、4時間以上の絶食ののちF-18FET 185-370 MBqを静脈投与した。PET装置はSiemens社製のECAT EXACT HR+を用い、 F-18FET投与直後から上腹部1ベッドの範囲でdynamic撮像を行った後、投与60分後には全身のstatic画像の撮像を行った。Dynamic画像では、上腹部各臓器に関心領域を設定し経時的なF-18FETの集積を測定した。FETの正常臓器への集積は、いずれも投与5分以内に最高値を示し以後漸減した。また、FETの正常臓器への集積は、投与後20分ほどでプラトーに達し、その後少なくとも60分までは大きな変化が見られなかった。投与60分後static画像では、主要臓器への集積はいずれも筋肉とほぼ同程度かやや高い程度であったが、腎臓への集積がやや高い傾向にあった。また、マウスで見られた膵臓への高集積は、健常男性では認められなかった。F-18FDGでしばしば問題となる腸管や脳への集積はF-18FBTでは低かった。以上より、F-18FETは炎症性病変や生理的な腸管や脳への集積が低く、悪性腫瘍診断に有効であることが示唆された。
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