2006 Fiscal Year Annual Research Report
胆管細胞がんにおけるムチン発現の臨床的意義に関する研究
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17591379
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
唐子 尭 (唐 偉) 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (00313213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幕内 雅敏 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60114641)
國土 典宏 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (00205361)
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Keywords | 胆管細胞がん / 病態学 / 複合糖質 / ムチン / 肝臓がん / 組織化学 / 腫瘍マーカー / 診断 |
Research Abstract |
我々は、がん組織に高発現する複合糖質について研究を行い、KL-6とよばれる抗体によって認識されるムチン(KL-6ムチン)の発現が、乳頭部がんや大腸がんといった消化器がんにおけるがんの病態に関与することを明らかにした。そこで、本研究では、予後が悪く、画像による診断も難しい胆管細胞がん(Cholangiocarcinoma ; CC)における早期診断や予後診断に有用な腫瘍マーカーの開発を目指し、様々な手法を用いたCCにおけるKL-6ムチンの臨床的意義を明らかにすることを目的としてきた。CC患者、肝細胞がん(Hepatocellular carcinoma ; HCC)患者およびCC/HCC混合型患者それぞれのがん組織や、CC患者およびHCC患者の血清を用いた昨年度の研究の結果、判別が困難なCCの組織学的な検出や血清学的診断によるCC患者の鑑別にKL-6ムチンが有効であることが示唆された。今年度の本研究では、転移性などといった性質が異なる複数の大腸がん培養細胞を用いて、KL-6ムチンに対するタンパク質レベルでの種々の生化学的解析を試みたところ、がん細胞の細胞質や細胞膜におけるKL-6ムチンの局在性が、がん細胞の接着性や悪性度に関係することが明らかとなった。また、過去に明らかにした大腸がん組織におけるKL-6ムチンの高発現の意義を解明する一環として、転移性肝がん組織に対して組織化学的な研究を行ったところ、発現性はCC組織と異なったが全症例においてKL-6ムチンの発現を検出した。さらに、最近の当科の研究では、膵臓に発生する種々の腫瘍におけるKL-6ムチンの高発現が明らかとなり、病態の進行との関連性が各種消化器がんと同様に示唆された。従って、本研究の結果より、KL-6はCCの診断に関わる新規腫瘍マーカーとなり得る可能性があるほか、各種がん疾患の病態解明のツールとして利用できることが期待される。
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Research Products
(6 results)