2006 Fiscal Year Annual Research Report
頸髄症モデルに対する神経栄養因子産生成体神経幹細胞の移植に関する研究
Project/Area Number |
17591514
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三好 康之 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (00362997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊達 勲 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70236785)
杉生 憲志 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40325105)
徳永 浩司 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40294467)
小野田 惠介 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (20379837)
松井 利浩 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (80362995)
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Keywords | GDNF / 成体 / 神経幹細胞 / グリア / ニューロン / 炎症細胞 / アガロース / BBBスコアー |
Research Abstract |
頚髄症モデルラットの作製をめざして、麻酔下にて吸水性膨張樹脂であるアガロースビーズを硬膜外に挿入した。このビーズは水に浸した後約1日で最大膨張を得ることができる。昨年度よりビーズの数を増やすことによりより強い脊髄の圧迫を得ることができたが、BBBスコアーにて有意な変化を得ることができなかった。その原因としてビーズの数が増えることにより広範な頸椎の圧迫となったため、もしくは挿入したビーズが移動したためと考える。実際にビーズが硬膜外から外に飛び出していることもあった。現在、GoreTexを用いてビーズの安定性の増すこと、また更に強い圧迫を得ることができないか検討している。 昨年度より成体ラットの脳室下帯から神経幹細胞を採取し、EGF存在下で増殖させた。この細胞に対してアデノウイルスを用いてGDNF遺伝子を導入し、GDNF産生神経幹細胞を作成した(一日のGDNFの産生量は2〜10ngである)。これを用いて移植実験を行っている。今回は、正常な脊髄にこの細胞を移植し、移植細胞の生存・分化・遊走および宿主脳の反応を検討した。胸椎に移植されたGDNF産生神経幹細胞は、GDNFを脊髄局所に供給することができ、移植した周囲の脳では、正常の組織に比べて約5倍の濃度のGDNFを供給することができた。この発現が少なくとも1ヶ月が持続していることを確認した。また、1ヶ月後に取り出された脊髄を免疫染色すると、移植した細胞は、ほとんどグリアに分化したが、わずかであるがニューロンへ分化していた。しかし、移植した細胞の周囲の宿主脊髄では、コントロール群と比べて有意に、GDNF産生細胞を移植した群で、炎症細胞であるマイクログリアやアストロサイトの増生を認めた。一部マクロファージも認めていた。これは、GDNFにより脊髄の炎症を惹起している可能性もあり、その原因を解明しているところである。
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