2005 Fiscal Year Annual Research Report
新生ニューロンマーカーポリシアル酸を用いた難治性ヒトてんかん焦点の検策
Project/Area Number |
17591534
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
堀 智勝 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60010443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 卓 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40307575)
石 龍徳 順天堂大学, 医学部, 講師 (20175417)
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Keywords | 海馬 / てんかん / ニューロン新生 / ポリシアル酸 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
てんかん患者の海馬歯状回では顆粒細胞が分散したり、重複したりすることが知られている。一方、てんかんモデルラットでは、顆粒細胞のニューロン新生が増加していることが報告されている。歯状回の顆粒細胞層では、例外的にニューロンの新生が続いていることが、ヒトを含めたほ乳類で近年明らかにされている。したがって、てんかん患者で見られる海馬歯状回の病変に、ニューロン新生が関与する可能性がある。しかし今のところ、てんかん患者のニューロン新生については明確な証拠がない。その原因の一つは、ヒトに応用できるような新生ニューロン検出法がないことによる。本研究では、いままでの正常ラットにおけるニューロン新生機構の研究をもとに、ヒトでのニューロン新生検出法を開発した。ヒトの海馬歯状回の増殖細胞は、細胞周期のマーカーであるKi67の抗体を用いた免疫組織化学法で検出できた。つぎに増殖性の神経前駆細胞の段階から発現されるニューロンの初期分化マーカー分子をいくつか検索したところ、RNA結合タンパクのHuが有用であることが明らかになった。また、未熟ニューロン(ポリシアル酸やdoublecortinをマーカーとする)も同時に検出したところ、ニューロンへ運命決定されている増殖細胞の近傍に、未熟ニューロンが存在することを確認した。したがって、以上の方法により、ヒトの海馬のニューロン新生を検出できると考えている。この方法をもちいて、2名のてんかん患者の海馬を調べたところ、硬化している場合は、ニューロン新生数が減少しているような印象を受けた。今後はてんかん患者の例数を増やし、てんかん症状とニューロン新生の関係を探る予定である。
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