2005 Fiscal Year Annual Research Report
変形性関節症の病態解明と治療法の確立- 内在性インシュリン様成長因子の有効利用
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17591582
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松本 智子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (30239107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 誠 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (20380959)
進藤 裕幸 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30107677)
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Keywords | 変形性関節症 / インシュリン様成長因子 / 関節軟骨 / IGF-結合蛋白 |
Research Abstract |
変形性関節症では軟骨における基質の分解と合成の制御機構が異常であることが考えられる。そこで、骨軟骨組織に豊富に含まれ、オートクライン/パラクライン的に作用する内在性のインシュリン様成長因子(insulin-like growth factor-I, IGF-I)の効果をより効率的に軟骨の修復に利用する方法を明らかにするために本研究をおこなった。 まずヒト軟骨細胞の単層培養および三次元培養をおこなった。またインターロイキン(IL)1-β1を添加することによりin vitroでの軟骨破壊モデルとした。無血清下にTGF-β1,IGF-I,デキサメサゾン,NSAIDなど各種薬剤を添加後、軟骨細胞からtotal RNAを抽出した。RT-PCR法と定量PCR法を施行し軟骨基質蛋白(アグリカン、II型コラーゲン,COMP)、基質分解酵素(MMP-3、MMP-13)、IGF-結合蛋白(IGFBP-1-IGFBP6)の遺伝子発現を調べた。 IGF-Iは軟骨基質の大成分であるアグリカンとII型コラーゲンの発現を亢進したが、軟骨基質の小成分であるCOMPの発現にはほとんど影響をおよぼさなかった。一方TGF-β1はCOMPの発現を著しく促進した。IL-I添加により、アグリカンやII型コラーゲンの産生は低下したがIGF-Iを同時投与することによりその低下の程度は軽減した。IL-IによりMMP-3,-9の発現亢進を認めたが、IGF-Iを同時投与してもその発現は抑制されなかった。またIGF-I,TGF-β1,IL-Iにより種々のIGFBPの発現が抑制または促進され、これらがIGF-Iの局所における作用を調節していることも考えられた。今後は種々の薬剤を組み合わせることによりIGF-Iの軟骨修復への可能性を研究していく予定である。
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