2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17591676
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 明宏 東北大学, 病院, 助手 (70344661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 修 京都大学, 医学研究科, 教授 (90260611)
賀本 敏行 京都大学, 医学研究科, 助教授 (00281098)
斎藤 誠一 東北大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (80235043)
佐藤 信 東北大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (70282134)
荒井 陽一 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50193058)
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Keywords | 腎癌 / 糖鎖 / ガングリオシド / DSGb5 / 糖鎖合成酵素遺伝子 / siRNA / cell motility |
Research Abstract |
長鎖のガングリオシド糖鎖が腎癌の悪性度に関連するというこれまでの知見に基づき、腎癌細胞でのDSGb5糖鎖の役割を解明するとともに、糖鎖発現調節による腎癌の新規治療を探る研究を以下の如く行った。 DSGb5糖鎖を発現する腎癌細胞ACHNでは、通常の培養系においてDSGb5糖鎖の発現程度の違う細胞が混在していることが判明しため、限界希釈法にてクローニングを行い、フローサイトメトリーで細胞を選択することで、DSGb5糖鎖高発現細胞と、低発現細胞とを分離することができた。両細胞間での生物学差異を調べた結果、in vitroでの増殖能に差はなかったが、DSGb5糖鎖低発現細胞では、cell motilityが低下することが認められた。これが、DSGb5糖鎖の発現の低下そのものによるものかどうかを検討するため、DSGb5糖鎖合成酵素遺伝子に対するsiRNAを細胞に導入する手法でDSGb5糖鎖低発現細胞を作製した。その結果、DSGb5糖鎖が腎癌細胞ACHNでのmotilitiyに関与しているという新しい知見が得られた。現在、cell motilityに関係する細胞内シグナリングにつき検討中である。 一方、ACHN細胞は、ヌードマウスの皮下で腫瘍結節を形成するが、siRNA導入によって得られたDSGb5糖鎖低発現細胞では、腫瘍結節の増大速度の低下が観察された。DSGb5糖鎖合成酵素遺伝子をノックダウンすることで、マウスでの腎癌細胞の増殖を低下させたという実験であり、糖鎖遺伝子をターゲットとした腎癌新規治療に結びつく基礎的知見が得られたと考えられる。
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