2007 Fiscal Year Annual Research Report
前方視的無作為振り分け臨床試験による双胎間輸血症候群発症予防に関する研究
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17591709
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水上 尚典 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 教授 (40102256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 俊 北海道大学, 大学病院, 助教 (20374283)
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Keywords | 胎児間輸血症候群 / 双胎妊娠 / 周産期死亡率 / 周産期罹病率 / 周産期医療ネットワーク / 前方視的コホート研究 / 発症頻度 |
Research Abstract |
学術集会等を通じてアピールし、北海道産婦人科学会ならびに北海道産婦人科医会の全面的協力のもと、北海道多胎妊娠登録制度」が2006年4月に開始された。全道各地から2008年3月現在で339例の双胎妊娠が登録された。膜性不明3例を除く、336例の胎盤膜性内訳は4例(1.2%)が一絨毛膜一羊膜性双胎、97例(28.6%)が一絨毛膜二羊膜性双胎、235例(69.3%)が二絨毛膜性双胎であった。不妊症治療後成立双胎が125例(36.9%、体外受精61例、クロミフェン35例、hMG-hCG29例)を占めた。すなわち、本邦における双胎中1/3例以上が不妊症治療後の双胎であること、また双胎中約30%が予後不良である一絨毛膜双胎であることが示唆された。339例中、168例について分娩週数の調査を行ったが、一絨毛膜双胎では二絨毛膜双胎に比し33週未満早産が多いことが明らかになった(9/46[19.6%]vs.11/122[9.0%])。単胎でのこれらは0.8%程度なので、双胎では早産が極めて多く、臨床的予後を悪くしている一大原因であることが明らかとなった。これら情報を登録施設で共有することにより、双胎妊娠が極めて予後不良であることが多くの周産期施設で認識され、基幹病院への双胎妊娠紹介が増加し、予後不良の改善に寄与している可能性が示唆された。北大病院産科には登録制度開始後多数例の双胎が紹介されるようになった。症例数が不十分であったために、ランダム化比較試験には至らなかったが、十分、当初の目的が達成された。また同期間中に胎児間輸血症候群(羊水過少児の羊水深度<2.0cm、羊水過多児の羊水深度>8.0cm)症例に対する胎児鏡下でのレーザーによる胎盤血管吻合凝固術の導入を決定し、国立成育医療センターの指導により、すべての準備を整えた。道内にはこの手術実施可能な施設は存在せず、大きな期待が寄せられている。
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