2006 Fiscal Year Annual Research Report
卵-顆粒膜-莢膜細胞の相互作用による卵の成長・成熟機構の解明
Project/Area Number |
17591724
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
小辻 文和 福井大学, 医学部, 教授 (50153573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田嶋 公久 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (60303377)
折坂 誠 福井大学, 医学部, 助手 (80324143)
福田 真 福井大学, 医学部附属病院, 助手 (40397279)
宮本 薫 福井大学, 医学部, 教授 (30125877)
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Keywords | 莢膜細胞 / androstenedione / LH受容体 / 顆粒膜細胞 / estradiol / 間質細胞 / 卵 / GDF-9 |
Research Abstract |
当初、卵胞構成細胞の相互作用の卵機能への影響の観察を目的としたが、研究の進行とともに、これまで注目されることのなかった莢膜細胞の役割と運命の重要性がクローズアップされ、以下の成果を得た。 1.莢膜細胞層の出現・消退機構 「莢膜細胞は間質細胞であり、顆粒膜細胞が莢膜細胞への分化を促す。また、顆粒膜細胞の影響が無くなると間質に戻る」という可能性の検証のために、間質細胞に及ぼす顆粒膜細胞の影響を検討した。卵巣の皮質から、間質細胞を単離し、顆粒膜細胞と共培養した時の機能形態変化を観察した。顆粒膜細胞の存在により、間質細胞はステロイド産生細胞の形態を備え、アンドロゲン産生能とLH受容体発現が誘導された。さらに、間質細胞をhCGで刺激したところ、AndrostendioneとcAMP産生がともにhCGに用量依存的に増加し、LH受容体が機能していることが判明した。以上の結果は、前述の仮説が正しいことを示す。また、顆粒膜細胞-間質の相互作用は、卵胞がゴナドトロピン反応性を獲得するメカニズムの一つと推測される。 2.卵による莢膜細胞機能調節の可能性の検討 初期発育卵胞においては、卵もまた莢膜細胞の機能調節にあずかることを明らかにした。卵中へのGDF-9のアンチセンス・オリゴを注入によりGDF-9発現をノックダウンしたところ、顆粒膜細胞にはアポトーシスが誘導され、卵胞発育は抑制された。また、莢膜細胞では、アンドロゲン産生酵素の17a-hydroxylase発現が有意に抑制され、テストステロンは殆ど観察されなくなった。 GDF-9のノックダウンは、以下の二つの経路で、顆粒膜・莢膜細胞の機能変化をもたらすと考察される。一つは、GDF-9のノックダウンが顆粒膜細胞のアポトーシスを惹起し、この結果、顆粒膜細胞の影響を失った莢膜細胞が間質に戻る可能性である。もう一つは、GDF-9のノックダウンが、直接に莢膜細胞の機能を失わせ、この結果、莢膜細胞の支えを失った顆粒膜細胞がアポトーシスに陥る可能性である。即ち、卵もまた、顆粒膜と莢膜細胞の機能を支えることで、初期の卵胞発育に関わると考えられる。
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Research Products
(3 results)