2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17591933
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山村 健介 新潟大学, 医歯学系, 助手 (90272822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 誠 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (00303131)
山田 好秋 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80115089)
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Keywords | 神経科学 / 咀嚼 / 大脳皮質 / 感覚 / 感覚認知 / 一次体性感覚野 / 口腔感覚 / 運動 |
Research Abstract |
本年度は、覚醒動物を用いたin vivo実験系で大脳皮質一次体性感覚野顔面・口腔領域から単一神経活動を記録し、咀嚼時の神経活動様式と末梢刺激に対する応答特性の変化を解析した。 実験には頭部を固定した状態で、実験者が口唇の前に提示した試料を取り込んで咀嚼、嚥下できるようになるまでトレーニングを行なったウサギ5羽を用いた。神経活動記録と皮質内微小刺激を組み合わせた手法で脳の機能的マッピングを行ない同定した大脳皮質一次体性感覚野顔面・口腔領域より下歯槽神経への低強度単発電気刺激に応答する112個の単一神経活動を記録した。食物の取り込みから嚥下にいたる一連の咀嚼運動を食物取り込みから臼歯部への移送を行う準備期(PP)、臼歯部での食物の粉砕・臼磨を行う咀嚼期(RC)、食塊形成と食物の後方への輸送を行う嚥下前期(PS)の3つの咀嚼期にわけて解析を行ったところ、PPでは記録した神経の83%、RCでは75%、PSでは87%で下歯槽神経刺激に対する応答性が減弱された。この結果は咀嚼時には口腔からの体性感覚上行路に対するゲーティング機構(Somatosensory Gating)が作動することで、食物と顔面口腔器官、あるいは口腔器官同士が接触することで口腔に生じた感覚情報は少なからず"減弱されて"大脳皮質体性感覚野に伝達されることを意味する。注目されたのは、咀嚼時に末梢への感覚刺激を反映するようなリズム性を持った活動を示す感覚野神経の中に、実際にはこのゲーティング機構により咀嚼時の末梢神経刺激に対する応答性がほとんど消失しているものがかなり存在することであった。すなわち、咀嚼時の大脳皮質一次体性感覚野の神経活動は運動に伴う末梢への感覚刺激を単純に反映しているわけではなく、例えば咀嚼行動開始前の視覚などに基づく食物認知や運動指令系からのコピー情報などの影響を受けていることが示唆された。
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Research Products
(4 results)