2005 Fiscal Year Annual Research Report
インシュリン感受性ホルモンの低下が糖尿病患者の歯周病に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
17592184
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山口 登 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (00230368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舛廣 善和 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (00336083)
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Keywords | 糖尿病 / 歯周病 / 免疫学 / 細胞 / 細菌 / アディポネクチン / Toll-like receptor / NF-kappaB |
Research Abstract |
肥満は、さまざまな全身疾患のリスクファクターであり、その病態と脂肪細胞由来のアディポサイトカイン(アディポネクチン、レプチン、TNF-αなど)との関連性が示唆されている。興味あることにアディポネクチンは、健常者の血清中に高濃度に存在しているが、歯周疾患のリスクの高い2型糖尿病患者や肥満者においては有意に低下していることが知られている。本研究では、歯周炎を含む炎症性疾患におけるアディポネクチンの役割を調べるために、マウス単球系細胞(RAW264)をリポ多糖(LPS)、リポタイコ酸(LTA)、およびCpG DNAで刺激し、Toll-like receptor(TLR)シグナル伝達におけるアディポネクチンの抗炎症作用について考察した。まず、同細胞のアディポネクチンレセプター(AdipoR1,AdipoR2)mRNAの発現をRT-PCR法で調べたところ、共に発現が認められた。球状ドメインを含むアディポネクチン(gAd)タンパク質は、gAd遺伝子を挿入したGST融合発現ベクターを用いて精製した。gAdの細胞への結合は、ビオチン化したgAdとフローサイトメーターを用いた解析により、AdipoR1を介していた。次に、gAdで細胞を6時間前処理後、LPS、LTAまたはCpG DNAで更に6時間、同細胞を刺激して、細胞溶解液中のNF-κB活性をDual Luciferase Reporter Assayにより測定した。その結果、gAdで細胞を前処理するとこれらのリガンドによって誘導されたNF-κB活性が濃度依存的に抑制された。一方、ウエスタンブロット分析によりgAdは、LPS誘導IκBのリン酸化を有意に抑制した。さらに、シクロヘキシミドで細胞を前処理した場合、LPS誘導によるNF-κB活性化とIκBのリン酸化におけるgAdの抑制効果は消去され、またAdipoR1抗体で前処理した際も、同様にgAdの抑制効果は低下した。これらの結果から、アディポネクチンは、AdipoR1を介して細胞内に未知の分子を誘導し、TLR経路を介する細胞内シグナル伝達を抑制して、抗炎症因子として機能する可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)