2006 Fiscal Year Annual Research Report
インシュリン感受性ホルモンの低下が糖尿病患者の歯周病に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
17592184
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山口 登 九州大学, 歯学研究院, 助手 (00230368)
|
Keywords | 糖尿病 / 歯周病 / 細菌 / 破骨細胞 / アディポネクチン / RANKL / NF-kappaB / Nitric oxide |
Research Abstract |
インシュリン感受性ホルモンであるアディポネクチンが歯周局所においても抗炎症的に作用しているという仮説を立て、歯周炎の発症および進展における抗炎症作用機序の解明を目的として研究を進めてきた。本年度は、破骨細胞への高い分化能を有する細胞(RAW264-D)を用いて、アディポネクチンのA.actinomycetemcomitans (Aa) LPSとRANKL刺激による破骨細胞分化能への影響について調べた。 まず、球状ドメインを含むアディポネクチン(gAd)存在下でAa LPS/RANKL刺激によるRAW264-Dより破骨細胞分化への影響をgAd非存在下と比較した。破骨細胞への分化能の評価は、Aa LPS/RANKL刺激3日後、TRAP染色陽性で多形核化した細胞をカウントした。次に、gAdでマウス単球系細胞(RAW264)を6時間前処理後、Aa LPSおよびE.coli LPSで引き続きRAW264を刺激した。刺激後、細胞溶解液中のNF-κB活性をDual Luciferase Reporter Assay、iNOS遺伝子発現レベルをReal-time PCR法および培養上清中のNO産生量をGriess法により測定してgAdの抑制効果を評価した。 gAdは、濃度依存的にLPS/RANKL刺激によるRAW264-Dから破骨細胞への分化を有意に抑制した。さらに、RAW264をgAdで前処理するとAa LPS誘導によるNF-κB活性、iNOS遺伝子発現およびNO産生量がいずれも有意に抑制された。 これらの結果から、アディポネクチンは、Aa LPS/RANKLが誘導する破骨細胞形成の抑制因子として機能することが示唆された。また、Toll-like receptor経路を介するNF-κB活性およびNO産生を抑制することにより、歯周局所において歯周炎の発症および進展を抑制する可能性が考えられる。
|