2005 Fiscal Year Annual Research Report
児を亡くした家族への助産師による地域拠点型支援プログラム及びシステムの開発
Project/Area Number |
17592272
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
大原 良子 自治医科大学, 看護学部, 講師 (40325163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 伸 自治医科大学, 看護学部, 教授 (20237605)
稲荷 洋子 自治医科大学, 看護学部, 助手 (00406167)
岡本 美香子 自治医科大学, 看護学部, 助手 (40382957)
加藤 由香里 自治医科大学, 看護学部, 助手 (10406168)
松原 茂樹 自治医科大学, 医学部, 教授 (20209597)
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Keywords | 死産体験者 / 周産期死亡 / 家族看護 / 開業助産師 / 地域支援 |
Research Abstract |
豪州タスマニア州における周産期死亡を体験した家族に対する地域支援についての調査を行った。タスマニア大学の助産教育において、死産家族への支援は、指定規則で定められた授業科目ではない。しかし、死産家族のケースを通し、支援についての討議演習を2時間設けている。また、実習中に死産となった家族が病棟に入院中であれば、ケア対象者として受け持っているが、実習中必ず体験すべき課題としては取り扱われていないとのことであった。次に、タスマニア州の2つの病院における死産家族への支援の実際を調査した。Royal Hobart Hospitalは、タスマニア州内で最も病床数の多い第三次施設である。この施設は、合併症を持った女性の死産が他施設より多い。院内には、グリーフカウンセラーとチャプレンが存在しており、死を体験した家族に対する専門的なサポート体制が整っていた。子どもに対しては、児の年齢を考慮しながら、兄弟が亡くなったことをきちんと説明している。死産となった児の大きさにあった服や靴下などを教会を通じて寄付がなされており、地域との強いつながりがうかがえた。また、Marsey Community Hospitalでは、死産児を家族に抱っこさせるときは冷たいと感じないよう暖めるなどの配慮が行われていた。豪州では、分娩後3日間(帝王切開5日間)であり、退院後は、入院していた施設から助産師が家庭訪問を行う。また、入院施設よりすべての褥婦は、コミュニティチャイルドヘルスセンター(CCHC)に連絡があり、CCRCからも家庭訪問のサービスが受けられる。CCRCには、チャイルドヘルスナース、ソーシャルワーカー、ラクテーションコンサルタントなどの職種で運営されている。家庭訪問以降は、CCHC内での支援が主となる。死産家族の場合、家庭訪問までは受けるが、CCHCに出向くことは少なく、その理由として元気な児を見ることがつらいためであるという。このため、SANDS(周産期死亡家族会)を紹介しフォローを依頼し、CCHCでフォローすること少ないという。SANDS以外の支援はすべてコミュニティベースの公的機関で行われており、施設を利用する人々の金銭的な負担はない。5つの施設で調査を行ったが、精神状態のアセスメント(エジンバラ産褥うつスケール)、乳房を含めた身体的アセスメント、家族夫婦間の関係のアセスメントなどアセスメントがシステマテックであり、また支援も社会を含め統合的であった。 今回の調査を死産家族の精神的・身体的・社会的アセスメントツールの開発に応用させる予定である。 栃木県助産師会において、死産家族への支援状況の調査を行った(回収数20)。県内の第三次施設においては、死産後の面会・抱っこなどの支援が行われていた。しかし、第二次・第一次施設では、全くされていないと施設も存在した。しかし、これらの施設は、自然死産の発生が皆無に等しいためであろう。今回の結果をもとに、栃木県と隣接する施設に死産家族への支援状況のアンケート調査も実施し、地域での支援に反映させたい。
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