2005 Fiscal Year Annual Research Report
重症心身障害児・者をもつ父親の「障害受容」とその支援に関する研究
Project/Area Number |
17592281
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kibi International University |
Principal Investigator |
牛尾 禮子 吉備国際大学, 保健科学部, 教授 (80281525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中桐 佐智子 吉備国際大学, 保健科学部, 教授 (60071479)
郷間 英世 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (40234968)
塚本 康子 静岡県立大学, 短期大学部, 教授 (60310554)
奥 祥子 福岡県立大学, 看護学部, 助教授 (40284921)
澤田 和子 吉備国際大学, 保健科学部, 助手 (00368721)
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Keywords | 重症心身障害児・者 / 母親 / 父親 / 障害受容 / 父親と母親の相違点 |
Research Abstract |
本研究は、重症心身障害児・者の父親の障害受容に関する研究である。 先だって、主たる養育者である母親の障害受容の様相について把握するために、24名の母親に対し聴き取りを行い、障害受容過程の分析を行い、母親は養育過程でいくつかの落ち込みを経験しながら、子の障害を受容していく、またそれと並行して人間的にも成長していくことを明らかにした。 次いで、重症心身障害児を20年間、養育してきた父親Aさん、およびAさんの妻Bさん(母親)に対して、子の養育過程で遭遇した出来事、その時々に生起した態度や気持の詳細について別々に聴き取りを行い比較検討した。 その結果、母親の特徴として、(1)子の障害告知は大きな衝撃であり、罪責感にさいなまれる。それゆえ、次には健常児を産むことを強く望む。(2)他の母親との交流は大きな支えになるが、同時に子どもの障害の比較対象となるなど、感情的な混乱が見られる。(3)夫(父親)が子の養育から離れていくにしたがって、子の養育が、母親の人生や生活のすべてとなり、子との一体感を強くもつ。(4)子の養育を通して、「開き直り」が起こり、それとともに自己のモニタリングができる。さらに、子から教わることが多いことに気づき、感謝するなど人間的に成長する。 父親の特徴としては、(1)養育上の出来事を客観的に捉え現実的な対応ができる。(2)次の子をもつ決意はなかなかできない。(3)感情の表出が少ない。(4)早期にあきらめの境地に至る。(5)世間体を気にする。(6)子の養育から容易に離れていくことができる。 一事例であるが、これらのことから重症心身障害児を養育する父親と母親の養育態度、意識には、かなりの相違があることが示唆できた。今後、具体的詳細を明らかにしていく。本年度の研究実績の概要は以上である。
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Research Products
(4 results)