2005 Fiscal Year Annual Research Report
家庭内の高齢者虐待における支援ネットワーク作り及び教育・アセスメント指標の開発
Project/Area Number |
17592297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
大越 扶貴 福井大学, 医学部, 講師 (90352632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高崎 絹子 東京医科歯科大学, 大学院・保健衛生学研究科, 教授 (50100607)
田中 敦子 埼玉県立大学, 短期大学部, 講師 (00352633)
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Keywords | 高齢者虐待 / 認知症 / 援助職 / ネットワーク / アセスメント |
Research Abstract |
今年度は高齢者虐待の援助上の課題を明確にするために以下の2点について調査・分析を実施した。 1、基幹型在宅介護支援センターにおける高齢者虐待と疑われた相談事例の分析 (1)本調査の目的は、基幹型在宅介護支援センターにおける初回相談の実態を明らかにしそのあり方を検討することである。 (2)東京都B区の3つの基幹型在宅介護支援センターにおいて、平成16年10月時点で高齢者虐待の疑いがあると判断した43事例を対象に初回相談の実態を調査した。 (3)高齢者虐待に関る相談開始の特徴には4点あった。(1)相談機関への被虐待者(高齢者)・虐待者(家族等)の相談は非常に少ない。(2)高齢者に関る行政窓口に、その業務内容に関連した相談として関係者から相談される。(3)近隣からの声は民生委員や関連課および専門職によって相談として取り上げられる。(4)基幹型在宅介護支援センターへの相談は、複数の相談経路を経て集約される。 家族や本人の相談の場合、(1)介護にまつわる相談の中で"ついで"のように出される、(2)認知症の無い高齢者では経済的搾取を主訴とする場合がある、(3)家族関係のもつれ(相続問題)を虐待として相談する場合があるなどであった。その他として、3つの基幹型在宅介護支援センターの相談には相談経路の多様性や集約性の違いがあった。活動実績がある基幹型在宅介護支援センターでは、相談経路が他のセンターに比べ多岐に渡り複雑であるにもかかわらず情報が集約されるという特徴があった。 2、介護支援専門員が高齢者虐待の判断に影響を及ぼす要因の調査・分析 (1)本調査の目的は、介護支援専門員の高齢者虐待に関する認識に関る要因を明らかにすることである。 (2)東京都B区の介護支援専門員8名に対し、平成18年1月27日に高齢者虐待の判断に迷う理由をテーマにフォーカス・グループ・インタビューを実施した。 (3)高齢者虐待の認識は、介護支援専門員の教育的背景、研修受講内容、援助実践の有無、事例検討への参加などによって異なっていた。 教育や研修は高齢者虐待の理解を促進し、事例検討におけるスーパービジョンは高齢者虐待に対するイメージや認識を変化させていた。
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