Research Abstract |
1.排便障害の要因を分析し,排便を促進する看護ケアプログラムの作成 介護老人保健施設入所者で,下剤を内服し泥状便などの軟化した便を排出している高齢者を対象に,排便パターンを把握することとその排便パターンに影響する要因を明らかにした。対象者は41名で,1ヵ月間の排便状態(排便回数,便の性状・量,排便方法,浣腸などの処置の有無),内服している下剤の種類,食事摂取量,水分量,便意の有無,そして座位能力について調べた。1ヵ月間の排便間隔,便の性状と量を基準に,3つのパターンに分類することができた。排便パターンは内服している下剤の種類と有意な関係が認められた。有形便の排出がみられる群の高齢者はほとんどの者が刺激性下剤のみ内服していた。少量の泥状便が1日に何回も排出される群では,機械的下剤と刺激性の下剤を併用している者が多かった。便が軟化することによって,オムツに失禁する頻度が高くなっており,便の性状を有形に調整すること必要性が示唆された。さらに,便意がないこと座位保持能力が低いことによって,トイレで排泄していない者や排尿のための時間誘導が行われているために,食後に排便のためにトイレにゆっくり座ることができない者がほとんどであった。以上のことから,以下の看護ケアプログラムを作成した。(1)朝食後・昼食後にトイレに誘導し排便を促す。(2)トイレでの座位姿勢が安定する環境調整を行う。(3)ホットパック,腹部マッサージを行う。(4)寒天を1日2g摂取する。 2.看護ケアプログラムの効果の検証 介護老人施設入所者で,下剤を内服し泥状便などの軟化した便を排出している高齢者で車椅子での座位が可能な者7名を対象に,援助プログラムを実施した。介入期間は4週間とし,介入前の4週間をコントロール期間とした。介入効果の評価指標は,排便回数,便の性状・量,排便方法,便意の訴えの有無,浣腸などの処置の回数とした。現在は収集したデータを分析中である。
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