2006 Fiscal Year Annual Research Report
酵母を用いた増殖定常期での生存率を規定する因子の解析と細胞長寿命化への展開
Project/Area Number |
17657056
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
饗場 浩文 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 助教授 (60211687)
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Keywords | 分裂酵母 / 老化 / ストレス応答 / 微生物 |
Research Abstract |
1.先に我々は、分裂酵母のlcf1遺伝子がlong chain fatty acyl-CoA synthetaseをコードし、lcf1遺伝子を欠失すると定常期生存率が著しく低下することを報告した。本年度は、分裂酵母に存在するlcf1のパラログ遺伝子(lcf2)について解析を行った。lcf2欠失株を作製し、その細胞破砕液を用いて、オレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸を基質に活性測定をしたところ、ミリスチン酸に対するlong chain fatty acyl-CoA synthetase活性は、野生株の半分程度になった。一方、オレイン酸、パルミチン酸に対しては野生株のそれと大きな差はなかった。従ってlcf2は、ミリスチン酸に特異性をもつlong chain fatty acyl-CoA synthetase活性を有することが明らかとなった。さらに、lcf1とlcf2との2重破壊株では、上記全ての基質に対する酵素活性が大幅に低下した。従って、lcf1とlcf2が分裂酵母のlong chain fatty acyl-CoA synthetase活性の大半を占めることが示唆された。lcf2変異株は、lcf1変異株とは反対に定常期生存率が上昇した。酵母では定常期での生存率は経時寿命と関連することが知られている。よって長鎖脂肪酸の利用、代謝と経時寿命との関連が示唆された。 2.分裂酵母の定常期生存率が野生株に比べ高い変異株L18,L16を取得した。L18変異は劣性の1遺伝子変異であることを見いだした。さらに、L18変異株についてマイクロアレイ解析を行い、野生株と比較して発現が変化する複数の遺伝子を同定した。
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