2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内に存在する膜受容体は創薬のターゲットになりえるか?
Project/Area Number |
17659072
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
村松 郁延 福井大学, 医学部, 教授 (10111965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森島 繁 福井大学, 医学部, 講師 (50290911)
鈴木 史子 福井大学, 医学部, 助手 (80291376)
ANISUZZAMAN A・S 福井大学, 医学部, COE研究員 (30397244)
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Keywords | ムスカリン受容体 / 大脳皮質 / N1E 115細胞 / 細胞内受容体 / 共焦点レーザー顕微鏡 / Ca^<2+> |
Research Abstract |
本年度(平成17年度)は、細胞膜内に存在する受容体を同定すること、並びに、細胞内の受容体が新たな機能を有するかを明らかにすることを目的として、以下の実験を行いました。 1.ラット大脳皮質における細胞膜ならびに細胞内ムスカリン受容体の同定:細胞膜を容易に通過できる脂溶性の^3H-QNBと、細胞膜を通過困難な^3H-NMS、2つのラジオリガンドを用いて、薬理学的結合実験を行いました。8種類のアンタゴニスト、2種類のアゴニストなどを用いて、詳細に検討したところ、ラット大脳皮質においては、全ムスカリン受容体のうち、約20-25%は細胞内に存在することを明らかにすることができました。また、驚いたことに、この細胞内に存在するムスカリン受容体は全てM1受容体でした。このことは、細胞内ムスカリン受容体が単に代謝の過程や調節のために存在しているのでは無く、一定の役割を有していることを強く示唆するものです。また、M1受容体をnativeに発現する神経芽細胞由来培養細胞(N1E 115細胞)などの培養細胞系を用いて、同様の実験を行ったところ、やはり、M1受容体が細胞内にも発現していることが明らかになりました。 2.共焦点レーザー顕微鏡による細胞内M1受容体のイメージング:M1ムスカリン受容体特異的な蛍光リガンドBODIPY-pirenzepineを用いて、スライスしたラット大脳皮質・海馬、N1E 115細胞などを共焦点顕微鏡にて調べたところ、細胞内にもM1受容体が分布していることが確認されました。また、核内には分布は見られませんでした。 3.細胞内M1受容体の機能の同定:細胞内のムスカリン受容体だけをアゴニスト刺激したときにもCa^<2+>の上昇を認めました。またこの上昇はPLC-IP3系の活性化を伴わずに起こっていることが示唆されています。 これらの結果は現在論文に投稿中です。また、一部の成果は、本年3月に行われた日本薬理学会総会にて発表致しました。
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Research Products
(5 results)