2006 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞におけるCaspr3の病理学的・生物学的特性に関する萌芽的研究
Project/Area Number |
17659102
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
居石 克夫 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (70108710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 和憲 九州大学, 大学院医学研究院, 講師 (50217668)
鬼丸 満穂 九州大学, 大学院医学研究院, 助手 (00380626)
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Keywords | 血管内皮細胞 / 発現制御 / シグナル伝達 / Caspr3 |
Research Abstract |
血管内皮細胞は、炎症、血管新生、止血といった血管イベントに重要な役割を果たす。本研究は、こうした血管内皮細胞の機能発揮に関して、申請者らがHUVECでの発現を新規同定したタンパク(Caspr3 : contactin-associated-protein3)の関与の有無を探索することを目的とする。 培養細胞による発現特異性の検討では、Caspr3は、線維芽細胞系(MRC5)、単球系細胞(U937,THP-1)では発現が無いあるいはごく低レベルである一方、内皮系では当初認めたHUVEC以外にも冠状動脈、大動脈、肺動脈はじめ皮膚微小血管内皮にいたるまで広く発現を確認した。昨年度までにプロモーター領域でサイトカイン等による遺伝子誘導に関係しうる転写因子(p300、Sp1等)の結合サイトを確認したことから、血管新生関連因子(VEGF、VEGF-C、HGF、FGF-2、TNFα、Ang-1)刺激による内皮細胞(HUVEC)における発現変化を調べた。その結果は、予想に反し、各刺激において有意な発現誘導は認められず、当該の血管新生関連刺激とCaspr3による関連は薄いものと推測される。加えて、細胞密度による発現変化も確認できなかったことから、コンタクチン関連因子という分子構造から期待していた細胞同士の接触刺激との連関も明らかに出来なかった。 以上のごとく、現状では内皮細胞の普遍性的発現以外にCaspr3と血管リモデリング、血管内皮機能への寄与を示唆しうる論拠同定に本研究では至っていない。しかしながら、近年文献的にVEGF-C/Flt4/contactin-1のシグナル経路のほか、神経ガイダンス分子の血管新生への関与の報告から、神経系分子と考えられていたCaspr3が恒常的に内皮細胞で発現していることの意義の萌芽的検討は引き続き進めていくことには意味があるものと考えられる。
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Research Products
(1 results)