2005 Fiscal Year Annual Research Report
頚髄損傷四肢麻痺者で見られる運動中過換気にメカノレセプターが与える影響の解明
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17700443
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
伊藤 倫之 浜松医科大学, 医学部付属病院, 医員 (90305566)
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Keywords | 頸髄損傷 / 受動運動 / 酸素摂取量 / 換気量 / メカノレセプター |
Research Abstract |
先行研究において頸髄損傷四肢麻痺者(以下頸損者)は負荷漸増運動中に同一酸素摂取量に対する換気量が亢進していることが明らかになった。そこでこの頸損者の換気量亢進に、非麻痺筋のメカノレセプターが関与しており、頸損者ではメカノレセプターからの入力ないしは、その入力に対する中枢の応答が大きくなっていると予想し、実験を行った。平成17年度ではまず、先行研究での漸増負荷運動が車いす駆動運動であったので上肢自転車エルゴメータを用いて頸損者の換気量亢進が見られるか検証した。頸損者7名(C5〜8残存、年齢30.3±3.3歳、体重55.6±3.2kg)、健常者5名(年齢27.0±1.1歳、体重71.4±3.8kg)に上肢エルゴメータを用いた漸増負荷運動(能動運動)を行った。負荷は、ペダルの回転数を増加させることで制御し、比較的軽負荷の運動を行った。酸素摂取量、心拍数は、負荷が増加するにつれて上昇した。一方、換気量は健常者では有意な変化が見られなかったのに対し、頸損者では、運動開始とともに有意に上昇した。先行研究同様頸損者では上肢自転車エルゴメータを用いた能動運動でも換気量が亢進することが証明された。つづいて同被験者に対して上肢自転車エルゴメータを用い、モーターでペダル回転数を増加させる受動運動を行い、運動中の換気応答を健常者と頸損者で比較検討した。酸素摂取量と心拍数は受動運動中有意な上昇は両群とも見られなかった。換気量は、健常者では有意な増加は見られなかったが、頸損者では、受動運動中でも安静時と比較して換気量が有意に上昇した。つまり頸損者の運動中の換気量亢進にメカノレセプターが関与している可能性が示唆された。来年度ではこの換気量亢進に体位、中心血液量が与える影響について引き続き研究していく。
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