2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本におけるイギリス領事裁判制度の成立と機能に関する研究
Project/Area Number |
17720158
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
森田 朋子 中部大学, 人文学部, 助教授 (80293108)
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Keywords | 幕末維新史 / 領事裁判 / 国際法 / Sir.Edmund Hornby / イギリス |
Research Abstract |
昨年度におこなったイギリス調査の資料Report of the proceedings of the mixed commission on private claimsを加えて、平成18年6月には明治維新史学会第36回大会にて「マリア・ルス号事件裁判の再検討--上海高等法院判事長ホーンビーの役割」を報告した。新史料により、マリア・ルス号事件のモデルとして日本側に紹介されたエンタープライズ号事件は、ホーンビーの権威を高める役割を果たしたものの、それほど共通点のある事件ではないことがわかった。 また、FO656、FO798、FO17について、史料の採集を継続するとともに分析をすすめた。採集方法については、東京大学付属総合図書館所蔵マイクロから採集したり、イギリス公文書館に直接注文したりとさまざまである。これらの資料をもとに、平成17年5月には名古屋歴史科学研究会大会にて「日本におけるイギリス領事裁判制度-枢密院令との関係からその発展を考える」を報告し、1865年の上海高等法院設立について、また1879年の神奈川法院設立について明らかにした。イギリスの領事裁判制度自体にホーンビーが深く関わっていたこと、その基本法令である枢密院令の改訂作業と問題点などを検討した。これについては名古屋歴史科学研究会『歴史の理論と教育』(第126号)に掲載予定である。 なお、予定していた海外出張にかえて、東京都公文書館・長崎歴史文化博物館において、外国人関係訴訟史料の採集につとめた。
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