2006 Fiscal Year Annual Research Report
フランス民法における「妻の法定抵当権」の立法的展開
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17730074
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
香山 高広 九州大学, 大学院法学研究院, 助教授 (60301967)
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Keywords | 妻の法定抵当権 / フランス民法典 / 転抵当 / 共和暦3年法 / 共和暦7年法 / トレヤール / 抵当権 / 夫婦財産制 |
Research Abstract |
本年度は、妻の法定抵当権から派生した「転抵当」の研究を行った。 近世フランス法において、妻の抵当権は、取引の阻害物となるために、夫の債権者は、夫の不動産に抵当権を設定するにさいして、妻の抵当権に抵当権を設定した(これを「抵当権の抵当権」という)。これがわが国民法の転抵当の起源である。しかし、フランス革命からフランス民法典の制定過程においては、この「抵当権の抵当権」は、否定されることになる。なぜ、近代法は転抵当を否定したのであろうか。この点につき、いくつかの仮説を立てることができる。その一つとして、わたしは、転抵当が夫婦財産共同管理を実現しており、革命期の立法は、それを否定するために、転抵当を否定したのではないかという仮説を立てた。そこで、私は、この仮説を証明するために、共和暦3年法、共和暦7年法、民法典草案、民法典、民事訴訟法の条文を検討し、起草者たちの言説を頼りに、これを証明しよう試みた。 本年度は、基本的仏語文献の分析で終了し、これを論文にまとめることはできなかった。これを論文にすることが、来年度の課題である。また、本年度の研究は、革命期の議論を検討することで終わったが、この問題については、近世さらには19世紀の議論を検討する必要もある。この点についても来年度以降の課題である。
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