2005 Fiscal Year Annual Research Report
H6型鳥インフルエンザウイルスの宿主域決定に与るウイルス蛋白の機能解析
Project/Area Number |
17780224
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
尾崎 弘一 北海道大学, 創成科学共同研究機構, 学術研究員(特任助教授) (80396332)
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Keywords | ウイルス学 / インフルエンザウイルス / 宿主特異性 / 宿主因子 |
Research Abstract |
本研究において、水禽由来および家禽由来のウイルスが種の壁を超えるのに必要な因子を分子レベルで解明するために解析を行っている。まず、近年東アジア地域で分離されたH6ウイルスの遺伝子を系統進化学的に解析した。その結果、ヘマグルチニン(HA)遺伝子は1)家禽由来、2)水禽由来の大きく2つの系統に分かれることが判明した。また水禽由来のHA遺伝子はさらに2つのクラスターに分けられることが明らかとなった。その他の遺伝子分節は主に水禽由来の遺伝子であり、他の亜型ウイルス間で遺伝子再集合を繰り返している。1997年以来香港で分離された家禽のH6ウィルスの内部遺伝子は同年またはそれ以降に発生した高病原性H5N1株のそれを未だに継承しているものが殆どである。次に遺伝子解析に基づいた遺伝子型別から各遺伝子型の代表株を選抜した。ウズラとニワトリを用いた感染実験を実施し、生物学的性状を解析した。その結果、家禽(ニワトリを除く)から分離されたウイルスはウズラとニワトリ双方の気管からウイルスが分離された。一方、野生水禽由来のウイルスはウズラの気管のみで分離されニワトリからは分離されなかった。この現象はウズラとニワトリの培養細胞を用いたin vitro感染実験においても同様の結果が得られた。 これらの知見を元にニワトリ気管で増殖するウイルスとしてA/teal/HongKong/W312/97(H6N1)(teal/97)、ウズラでのみ増殖するウイルスとしてA/duck/Shantou/5540/01(H6N2)(duck/01)をそれぞれ選抜し、全遺伝子をクローニングした。クローニングされた遺伝子から発現プラスミドを作製し、teal/97ウイルスをベースに遺伝子分節を1本ずつduck/01ウイルスのものと入れ替えた遺伝子再集合体を作製した。これらの遺伝子再集合体を培養細胞に接種してウイルス増殖を検証し、HA、PB2またはM遺伝子にその原因があることを突き止めた。
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Research Products
(2 results)