2005 Fiscal Year Annual Research Report
外傷性高次脳機能障害者とその家族のニーズに基づくサポートシステム開発の基礎的研究
Project/Area Number |
17791642
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山居 輝美 大阪府立大学, 看護学部, 助手 (50326287)
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Keywords | 外傷性高次脳機能障害 / 家族 / サポートシステム |
Research Abstract |
本研究は、外傷性高次脳機能障害が及ぼす生活への影響について明らかにすること、特に受傷後の症状の回復の様子、高次脳機能障害者とその家族の送っている生活の状況、高次脳機能障害者とその家族が現在も感じている症状やそのことによる影響を明らかにすることを目的とした研究である。対象者は、外傷性高次脳機能障害患者3名とその家族4名であった。本研究の目的とデータ収集方法および途中で面接を中止できる権利やインタビュー内容の録音について口頭および書面で説明し、同意を対象者から得て、データ収集を行った。データは、半構成面接により収集した。面接は、高次脳機能障害者は15〜30分程度、家族は30〜120分程度で行った。外傷性高次脳機能障害が生活に及ぼす影響についての思いを語ってもらいその内容を質的に分析した。 面接で得たデータは、逐語で記録した後、質的に分析しカテゴリーに分類した。これらは高次脳機能障害者は「毎日一生懸命生きる」「自分を信じる」「生き方がわからない」「生活が変わったことはない」であった。家族は「感情のコントロールが困難」「別の人生の始まり」「周囲の無理解」「対処方法がわかる」「生真面目になる」「相談する場所がない」「子育てのやり直しをしている」であった。高次脳機能障害者は、生き方を探りながら、日々懸命に生活している状態であった。家族は、感情のコントロールのできない行動は説明はつかないと感じる一方、別の人生を一緒に歩んでいると感じていた。しかし、障害を受けた後も何の変化もないと感じている高次脳機能障害者もおり、家族と認識のずれが存在した。高次脳機能障害について、相談できる医療機関や社会福祉施設が乏しいことが、高次脳機能障害者とその家族を孤立させており、受傷後早期に対応できるサポートシステムの構築の必要性が示唆された。
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