2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H00728
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
上野 玄太 統計数理研究所, モデリング研究系, 教授 (40370093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 慎也 統計数理研究所, モデリング研究系, 准教授 (40378576)
藤井 陽介 気象庁気象研究所, 海洋・地球化学研究部, 主任研究官 (60343894)
三好 由純 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 教授 (10377781)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | データ同化 / 結合モデル / 大気海洋 / ジオスペース |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の上野は、ここ数年の間にデータ同化システムにおける正則化パラメータの最適化手法を開発し、大規模なシステムを対象とするデータ同化システムのパラメータ調整作業に解決策を与えた。データ同化システムにおいて、物理モデルと観測データそれぞれの重みを表すノイズの分散共分散行列の調整は必須であるが、一連の研究成果により、大規模なシステムを対象とするため膨大になりうるパラメータ調整作業に解決策を与えたものである。本応募課題は、物理モデルと観測データの関係において開発してきたこれらの研究成果を発展させ、結合システムを構成する各領域の物理モデル同士の関係に導入するものである。結合領域間の相互作用を統計的にモデル化し、そのパラメータを同成果を用いて最適化することにより、従来は困難であった時間スケールが異なる各領域の状態の同時推定が可能になることが期待できる。
平成30年度は以下の研究を進めた。(1)昨年度、気象研究所結合同化システムを用いて、2014-2015年の2年間の再解析実験を実施したが、本年度は追加実験として、大気データ同化において熱帯域の観測データの重みを下げ大気の拘束を弱める実験と、衛星データを除き現場観測などの従来型観測データのみを同化する実験を実施した。両者とも通常の結合データ同化と大気・海洋間のデータ受け渡しを遮断した実験を行い、いずれの場合でも大気海洋結合により熱帯域の降水バイアスが減少していることが確認された。(2)数値天気予報モデルによる予報実験の結果から結合予測における入力データのインパクトについての統計的な評価を実施し、結合同化による海洋場の修正が、予測精度の向上に寄与していることを確認した。(3) Particle Filterを用いた放射線帯電子フラックス変動のデータ同化システムの開発を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
結合同化システムにより予報性能の改善が確認できたことは喜ばしい結果であった。その一方で、結合同化システムに誤差が含まれている場合の検証の必要性に思い至り、結合モデルで発達する誤差の成長の解析を開始した。ブリーディング法により大気海洋結合モデルでの誤差成長モードを取り出す研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)宇宙放射線、電磁場観測の観測モデルを実際の物理課程に即して構築する。 (2)大気・海洋・海氷結合同化システムを用いて再解析データを作成する。 (3)ジオスペース結合同化システムを用いて再解析データを作成する。
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Research Products
(20 results)