2017 Fiscal Year Annual Research Report
Monitoring of coral reef ecosystem by underwater biological sounds
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17H00799
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
赤松 友成 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 中央水産研究所, 主任研究員 (00344333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
御手洗 哲司 沖縄科学技術大学院大学, 海洋生態物理学ユニット, 准教授 (80567769)
波利井 佐紀 琉球大学, 理工学研究科, その他 (30334535)
フレデリック シニゲル 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 研究員 (10625940)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 音響リモートセンシング / サンゴ白化 / 受動的生物音モニタリング / 生物多様性 / 発音魚 / クジラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は沖縄県本部町に我が国で初めての水中音響生態観測サイトを構築した。 日本長期生態学研究ネットワーク(JaLTER)のコアサイトである琉球大学の熱帯生物圏研究センター瀬底研究施設の沖合域で水深20mと40m地点および浅場のサンゴ礁に連続音響観測装置を設置した。すでに10ヶ月程度の水中録音を継続しており、これまで日本では行われたことがない生物音を対象とした安定的な定点が設けられた。 サンゴ礁生態系は時間的にダイナミックに変動し、種構成も多様である。近年40mを越える深いサンゴ礁においても多様な生態系が確認されており、ここがサンゴ白化における浅海域の種の避難場所としての強い潜在力をもっている。本年度はこの避難地仮説を音響的に検証する準備段階として、機械学習による音素の自動分類を行った。似た特徴量をもつ音素をまとめ、異なる音素群との境界を確定するため機械学習を用いた。この過程では音素の音響的特徴のみを指標として分類しており、分類するべき対象音の特徴を人間が指定する必要がない、いわゆる教師なし判別によるサウンドスケープ解析を行った。 瀬底島周辺のサンゴ礁には多くの共生生物が生息しており、甲殻類やスズメダイの仲間も多数見られる。これらの発音生物を想定し、次年度以降に計画していた曳航式水中マイクロホンによる広域観測に着手した。静穏なプラットフォームを用いた観測は、瀬底島の東側半分をカバーするにとどまったが、定点観察では得られないサウンドスケープの空間的な分布を示す基礎的なデータを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では研究に必要なデータを集める音響モニタリングステーションの構築を挙げていたが、解析手法の開発や現場データへの試験的適用および広範囲の音響モニタリングなど、次年度以降に計画していた多くの研究項目に着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の夏より開始された現場録音データから。頻繁に多く受信される音素とまれにしか記録されない音素を機械学習によって抽出する。たとえば生物多様性が高ければ、音素の種類が多く、種別の頻度分布はゆるやかに下降すると考えられる。一方、多様性が低い場合には音素の数が少なく頻度分布は急峻に下降すると考えられる。この音素の分布形状を水中のサウンドスケープの指標として、浅場と深場での生物音多様性を比較し、温暖化への反応として深場の避難地仮説を指示するか検証する。また、近年注目が集まっている水中騒音の海洋生物への影響に関する国際シンポジウムを開催し、当該分野に研究成果を応用するとともに、発表の場として活用する。
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Research Products
(2 results)