2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H00807
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
岡部 貴美子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (20353625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 健生 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (00363036)
亘 悠哉 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (10760704)
下田 宙 山口大学, 共同獣医学部, 准教授 (40719887)
古川 拓哉 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40772116)
前田 健 山口大学, 共同獣医学部, 教授 (90284273)
五箇 公一 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 室長 (90300847)
高野 愛 山口大学, 共同獣医学部, 准教授 (90700055)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 野生動物由来感染症 / 生物多様性 / マダニ / 生態系管理 / ランドスケープ |
Outline of Annual Research Achievements |
アライグマの分布変化とアライグマのSFTS抗体保有率(過去の保菌率を示す)について、既存情報の分析を行い、和歌山県内ではアライグマの分布拡大後の2008年にSFTS抗体保有個体が発見されたのち、2012年頃から急速に保有個体が増加し分布拡大したことが明らかとなった。このことから、SFTS媒介上重要な野生動物が明らかになった。また媒介動物の分布拡大と感染症の地理的拡大との間にはタイムラグがある可能性が示唆された。またマダニ未成熟虫の宿主として重要なネズミの巣に生息するカニムシの一種、オオヤドリカニムシがマダニの重要な天敵である可能性を明らかにした。オオヤドリカニムシの第三若虫、雌雄成虫はマダニの幼虫から成虫まで、すべてのステージを捕食した。森林性のネズミの密度が高い森林でカニムシ密度が高い可能性が示唆されたことから、生物多様性の高い森林が持つ個体群制御機能を定量化できる可能性を示した。栃木県内のシカ密度の異なる国有林周辺で、マダニの密度の予備調査を行った。その結果、チマダニ属を中心とした本地域の典型的なマダニ相が明らかとなった。またシカ密度が中以上の地域ではマダニ密度は飽和状態になる可能性が示唆された。一方、シカ密度が低い地帯ではマダニ密度が低く、イノシシ密度はマダニ密度と相関しない可能性が示唆された。また植被はマダニの生息に重要である可能性が高いが、特に冬季はリターがマダニの生息に重要な役割を果たしている可能性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当年度の計画に基づき、野生動物やマダニの種多様性や密度と感染症保菌率との関係を明らかにするために、データ収集と調査を開始し、シカやイノシシの密度とマダニの多様性や密度との関係を明らかにするための試験地の設定を行い、予備情報の収集を開始し、また調査地点の植生ほか生物多様性情報を収集した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降の当初の計画に基づき、野生動物由来感染症のリスク低減のための環境政策提言および生態系管理手法開発に資するため、 感染症媒介にかかる野生動物とマダニ、またその病原菌の相互関係の解明について宿主特異性について検討する。また感染症媒介にかかる野生動物およびマダニの生態的特性の解明のために、生物多様性や個体群密度に関連する気象や土壌条件等の非生物的要因、天敵・競合種や植生等の生物的要因の解明に取り組む。これらに基づき、 野生動物やマダニの分布を規定する生物的・非生物的要因のミクロ(森林管理単位)/マクロ(ランドスケープレベル)スケールでの分析を行い、各スケールで有効な生態系管理手法の提言を目指す。
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Research Products
(4 results)