2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H00807
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
岡部 貴美子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (20353625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 健生 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (00363036)
亘 悠哉 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (10760704)
下田 宙 山口大学, 共同獣医学部, 准教授 (40719887)
古川 拓哉 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40772116)
前田 健 山口大学, 共同獣医学部, 教授 (90284273)
五箇 公一 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 室長 (90300847)
高野 愛 山口大学, 共同獣医学部, 准教授 (90700055)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 野生動物由来感染症 / 生物多様性 / マダニ / 生態系管理 / ランドスケープ |
Outline of Annual Research Achievements |
栃木県日光森林管理署および塩那森林管理署管内で、シカの密度が異なる森林地帯において、林内、林縁、林道に並行する100mのラインを設定し、通常のマダニ調査法である旗ずり法によって生息を調査した。その結果、シカ高密度地帯の林内および林縁では9-11月にチマダニ属成虫が優占し、低密度地帯では4-5月にマダニ属成虫が少数採集された。またシカ高密度地帯ではマダニ幼虫は8-10月に、若虫が11月に多数採集されたが、いずれもチマダニ属が優占した。これらのことから、シカ密度がチマダニ属のマダ密度に強く影響していることが示唆された。また通常被植率が高い林縁が最もマダニ密度が高く、林道ではほとんど採集されなかった。山口県西部のシカにおけるSFTSVに対する抗体保有率について分析した。母体からの移行抗体の影響を受ける可能性がある幼獣を除くと、オス・メス共に体サイズが大きい個体ほど抗体陽性率が高く、同地域のシカはSFTSVに暴露され続けている状況にあること示唆された。また、シカの個体密度が高いほど抗体陽性率が高い傾向が見られたことから(図2)、野外におけるSFTSV動態にシカの密度管理が与える影響について更に研究を進めていくことが重要であると考えられた。さらに野生動物管理とマダニ媒介感染症について生態学的視点からレビューした結果、ライム病ではマダニ幼虫の生存はネズミ密度と相関し、成虫はシカ密度と相関したことから、これらの宿主のみならず宿主の捕食者の管理も視野に入れるべきであることがわかった。またSFTSはツシマヤマネコなどのネコ科希少種の脅威となりうることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度及び2年度目の研究により計画通りに、マダニの生態的特性を明らかにするために野生動物宿主との関係にかかる既存研究からレビュー研究を行い取りまとめたほか、野外における天敵の解明を実施した。また野外調査や文献調査によって、野生動物の種や密度とマダニの種や密度の関係について、それぞれ基礎的な知見を得た。また野生動物由来感染症にかかる制度、政策を検討し、問題点の抽出を行った。このことにより、とりまとめを行う準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
野外調査によって得られたデータの分析によって、野生動物の種多様性や個体群密度と病原体媒介者であるマダニの多様性や密度との関係、これらにかかる生物的非生物的要因を分析する。またSFTSウイルスをモデルに、地域的な分布拡大予測とその重要な野生動物の予測を行う。これらに基づき、野外活動におけるハザードマップの基盤情報を取りまとめる。さらに野生動物由来感染症リスク低減のための、制度政策について取りまとめる。
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Research Products
(54 results)
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[Journal Article] Characterization of a novel thogotovirus isolated from Amblyomma testudinarium ticks in Ehime, Japan: A significant phylogenetic relationship to Bourbon virus.2018
Author(s)
Ejiri H, Lim CK, Isawa H, Fujita R, Murota K, Sato T, Kobayashi D, Kan M, Hattori M, Kimura T, Yamaguchi Y, Takayama-Ito M, Horiya M, Posadas-Herrera G, Minami S, Kuwata R, Shimoda H, Maeda K, Katayama Y, Mizutani T, Saijo M, Kaku K, Shinomiya H, Sawabe K.
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Journal Title
Virus Research
Volume: 249
Pages: 57-65
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Fatal cases of endemic tick-borne phlebovirus infection in captive cheetahs (Acinonyx jubatus)2018
Author(s)
Matsuno K, Nonoue N, Noda A, Kasajima N, Noguchi K, Takano A, Shimoda H, Orba Y, Muramatsu M, Sakoda Y, Takada A, Minami S, Une Y, Morikawa S, Maeda K.
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Journal Title
Emerging Infectious Diseases
Volume: 24
Pages: 1726-1729
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 野生動物における重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルス感染状況 20182018
Author(s)
立本完吾, 野口慧多, 南 昌平, 米満研三, Supriyono, Ngo Thi Bao Tran, 水野純子, 鍬田龍星, 高野 愛, 下田 宙, 末永昌美, 鈴木和男, 森川 茂, 前田 健
Organizer
第 33 回中国四国ウイルス研究会
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[Presentation] 国内の伴侶動物における重症熱性血小板減少症候群の発生状況2018
Author(s)
野口慧多, 立本完吾, 南 昌平, 米満研三, Supriyono, Ngo Thi Bao Tran, 水野純子, 鍬田龍星, 高野 愛, 下田 宙, 森川 茂, 前田 健
Organizer
第 33 回中国四国ウイルス研究会
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[Presentation] 渡り鳥に咬着したマダニからのウイルス分離2018
Author(s)
下田 宙, 南 昌平, 高野 愛,青木 栞, 水野純子, 立本完吾, 米満研三, Supriyono, Ngo Thi Bao Tran, 鍬田龍星, Boldbaatar Bazartseren, 馬田勝義, 仲村 昇, 出口智広, 前田 健
Organizer
第 33 回中国四国ウイルス研究会
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