2018 Fiscal Year Annual Research Report
前近代人物情報論の構築にむけた花押・筆跡の網羅的収集と汎用的利用に関する研究
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17H00921
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 譲 東京大学, 史料編纂所, 教授 (00164971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
耒代 誠仁 桜美林大学, 総合科学系, 准教授 (00401456)
金子 拓 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (10302655)
大山 航 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (10324550)
井上 聡 東京大学, 史料編纂所, 助教 (20302656)
小倉 慈司 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (20581101)
川本 慎自 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (30323661)
山本 祥隆 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (50610804)
高田 祐一 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 企画調整部, 研究員 (50708576)
久留島 典子 東京大学, 史料編纂所, 教授 (70143534)
末柄 豊 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (70251478)
高橋 敏子 東京大学, 史料編纂所, 教授 (80151520)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 花押 / 筆跡 / MOJIZO / ディープラーニング / 歴史的人物情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、以下の3つの研究ユニットを構成し連携しながら課題を進めた。 (a)花押・筆跡情報の蓄積スキームの構築研究では、昨年度構築した花押・筆跡の収集・蓄積用インターフェイス「新花押・筆跡DB」の機能的強化・調整を行ったうえで、新規データ1万件余を生成した。また紙媒体で蓄積してきた「花押カード」のうち、南北朝・室町時代以降分4万件余のデジタルデータへの変換を完了し、メタデータの整備も平行して進めた。なお現用の「花押彙纂データベース」「花押カードデータベース」収載コンテンツ(総計5万点余)につき、新規DBへと統合するためデータ形式の転換など各種調整を進めた。 (b)情報学的解析方法の援用による機能高度化研究では、分担研究者大山航を中心に「花押彙纂」所収の花押画像を対象としてデジタル解析方法の研究を進め、従前に比べ極めて効率的な方法を確立することができた。この成果については、「電気・情報関係学会九州支部連合大会」および「人文科学とコンピュータ学会」において賞を授与された。また当該方法論について、史料編纂所と奈良文化財研究所が共同開発した字形自動判読OCRソフト「MOJIZO」へと応用するべく検討に着手した。 (c)歴史的人物情報の統合化と共有にむけた発信方法の研究では、前年度「新花押・筆跡DB」に実装した、人物レポジトリとの応答用モジュールにつき、検証を重ねつつ実際の運用に移行した。同モジュールを通じて、花押・筆跡の記主に関する各種情報を参照することが可能となり、正確なデータ蓄積につなげることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つの研究ユニットのそれぞれの課題に関して、「おおむね順調に進展している」と判断している。花押の形態解析につき有効な方法論も確立しつつあり、「MOJIZO 」との連携も視野に入れている。既存データの新規DBへの移行、新データの生成・蓄積も予定どおり展開している。
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Strategy for Future Research Activity |
実働状態となった「新花押・筆跡DB」へのデータ統合・データ生成を力強く進めるとともに、「東京大学史料編纂所歴史情報データベースシステム(SHIPS)」が擁するDB群・レポジトリとのより有機的な連携を強めてゆく。また花押・筆跡画像の解析技術の革新も踏まえて、史料編纂所および本研究グループの外部との有機的連携を推進してゆくこととする。
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