2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17H00924
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
白木沢 旭児 北海道大学, 文学研究科, 教授 (10206287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小都 晶子 立命館大学, 言語教育センター, 嘱託講師 (00533671)
中山 大将 京都大学, 文学研究科, 研究員 (00582834)
井澗 裕 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 境界研究共同研究員 (10419210)
及川 琢英 北海道大学, 文学研究科, 専門研究員 (30553036)
シュラトフ ヤロスラブ 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (30726807)
中村 陽子 (田淵陽子) 東北学院大学, アジア流域文化研究所, 客員研究員 (40436176)
兎内 勇津流 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 准教授 (50271672)
三木 理史 奈良大学, 文学部, 教授 (60239209)
浅野 豊美 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (60308244)
内藤 隆夫 東京経済大学, 経済学部, 教授 (60315744)
ブル ジョナサンエドワード 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 助教 (60735736)
加藤 聖文 国文学研究資料館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (70353414)
黒岩 幸子 岩手県立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80305317)
荒井 幸康 北海道大学, スラブ研究センター, GCOE共同研究員 (80419209)
湯浅 剛 広島市立大学, 付置研究所, 教授 (80758748)
天野 尚樹 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (90647744)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 日ソ戦争 / 樺太 / 満洲 / 引揚 / 抑留 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、4ヵ年の科研期間の第1年目であり、研究活動のほとんどは、資料収集、資料調査であった。ただし、これまでの研究業績を有するメンバーが集まっているため、研究の公表も行われた。 日ソ戦争過程については、日ロ双方の資料調査を踏まえて、加藤聖文「ソ連軍の満洲進攻と関東軍」、ヤロスラブ・シュラトフ“Rescued in Siberia : The US Airmen at the Soviet Far East” 、などの学会発表が行われた。また井澗裕は『ロシア革命とソ連の世紀第2巻』に「日ソ戦争」を寄稿し、兎内勇津流は「第二次世界大戦期サハリン周辺海域の航行問題」を『ロシア史研究』に発表した。 引揚についてはジョナサン・ブル「大日本帝国から再考するポスト帝国時代の人口移動:サハリン(樺太)から北海道への引揚げを中心に」、中山大将「近現代東アジア境界地域における残留現象の比較相関研究」などの学会発表がなされた。冷戦体制への移行過程についてはヤロスラブ・シュラトフ“The Khabarovsk Trials of 1949 and the Cold War Diplomacy”、湯浅剛「ユーラシア国際関係におけるエネルギー・ファクター」などの学会発表を行った。 また、札幌においてはロシアの研究者を招いて研究会を開催し、ニコライ・ヴィシュネフスキー「知取協定と樺太における戦争の終結」(2017年12月2日)、ミハイル・クズネツォフ「モンゴルにおける日本の抑留者(1945-1947):国際関係上の出来事と国民の悲劇」(2018年1月25日)の2つの研究発表がなされた。これらの報告はロシア語でなされたが、日本語訳を作成中であり、近いうちに公刊予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロシアではロシア連邦国防省中央文書館、ロシア連邦国立文書館、ロシア国立社会政治史文書館、サハリン州国立文書館、ハバロフスク地方国立文書館の資料調査および収集を進めている。これらを通じて、日本人戦犯および佳木斯第一陸軍病院の女性部隊に関する貴重な情報が得られた。 国内では防衛省防衛研究所戦史室所蔵の陸軍文書のうち、満洲関係、千島関係の閲覧・複写を進めた。その結果、千島における慰安婦の存在がわかり、満洲国軍の日ソ戦争における役割がより明らかになった。特筆すべきは、『満蒙開拓団実態調査表』原本が山形県にてまとまって保存されていることがわかり、整理に着手したことである。満蒙開拓団は、日ソ戦争のさなかに逃避行を余儀なくされ、また男子は関東軍兵士として抑留を経験している。この資料によって各開拓団の敗戦後の避難経路が明らかになる。 戦争・引揚・抑留体験者からの聞き取り調査も行った。そのなかでは『平壌で過ごした12年の日々』の著者宅にて家族から日記等の借用を許され、ソ連進駐下の朝鮮について検討する手がかりを得ることができた。また、東京都、山梨県、岡山県、広島県で従軍看護婦、女子挺身隊員、衛生兵(男性)に聞き取り調査を行い、当時の救護手帳、メモ、写真、引き揚げてからの手書きのメモ、私家版の抑留記などを見ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ロシアにおける文書館調査は、引き続き行い、海外ではこれに加えてモンゴル・ウランバートルにおける資料調査を行う。研究分担者・田淵陽子がウランバートルに滞在しているので、他の分担者も参加して行う予定である。また、アメリカの対ソ支援について在米の公文書館に関係資料があるので、引き続き調査する。国内においても防衛研究所所蔵資料を調査するとともに、山形県文書館所蔵の『満蒙開拓団実態調査表』の整理を行う。体験者の手記・回想・戦友会機関誌等については調査・収集を進めるとともに、これらの書誌情報をデータベース化していく。これらのタイトルには日ソ戦争関係であることが明示されない場合が多く、内容を見たうえでの書誌情報が不可欠である。 比較的研究が手薄な、ソ連軍進駐下の朝鮮や女性の抑留者・戦犯の問題について、資料を探索するとともに関係者への聞き取り調査を進めていく。 日本植民地研究会全国大会(2018年7月15日)では共通論題に「日本帝国の崩壊とソ連要因」を掲げ、本科研メンバーを中心に報告者、コメンテーターを揃えている。ロシアの研究者を東京または札幌に招いての研究会・シンポジウムも計画中である。
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Research Products
(22 results)