2018 Fiscal Year Annual Research Report
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17H00924
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
白木沢 旭児 北海道大学, 文学研究科, 教授 (10206287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小都 晶子 摂南大学, 外国語学部, 講師 (00533671)
中山 大将 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 助教 (00582834)
井澗 裕 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 境界研究共同研究員 (10419210)
及川 琢英 北海道大学, 文学研究科, 専門研究員 (30553036)
シュラトフ ヤロスラブ 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (30726807)
中村 陽子 (田淵陽子) 東北学院大学, アジア流域文化研究所, その他 (40436176)
兎内 勇津流 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 准教授 (50271672)
三木 理史 奈良大学, 文学部, 教授 (60239209)
浅野 豊美 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (60308244)
内藤 隆夫 東京経済大学, 経済学部, 教授 (60315744)
ブル ジョナサンエドワード 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 講師 (60735736)
加藤 聖文 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (70353414)
黒岩 幸子 岩手県立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80305317)
荒井 幸康 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 共同研究員 (80419209)
湯浅 剛 広島市立大学, 付置研究所, 教授 (80758748)
天野 尚樹 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (90647744)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 日ソ戦争 / 樺太 / 満洲 / 引揚 / 抑留 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、4ヵ年の研究期間の2年目にあたり、科研メンバーによる研究発表が積極的に行われた。日本植民地研究会第26回全国研究大会では、共通論題として本科研メンバーを中心に「日本帝国の崩壊とソ連による占領」(コーディネーター:白木沢旭児)が企画され、内藤隆夫「朝鮮北部におけるソ連進駐―日本窒素肥料(興南)の事例を中心に―」、兎内勇津流「ロシア・ソ連の史料・文献に見るソ連の南サハリン統治 (1945-1950)」、荒井幸康「モンゴルにおける日本人抑留」が報告された。これまで、日ソ戦争史のなかでも光が当てられていなかった、北部朝鮮、戦後サハリン、モンゴルについて、新資料も紹介しながら最新の研究状況が明らかとなった。 また、北海道大学が刊行する『北方人文研究』第12号には、ジョナサン・ブルの ‘Karafuto Repatriates and the Work of the Hakodate Regional Repatriation Centre, 1945-50’の邦訳(白木沢旭児)「樺太引揚と函館引揚援護局の役割 1945-50」および、セルゲイ・クズネツォフによるロシア語研究報告の邦訳(兎内勇津流)「モンゴルにおける日本人抑留者 1945-1947年」を掲載することができた。本科研の研究計画として、ロシアはじめ海外の研究者の外国語による研究成果を日本の読者に提供することを掲げていたが、これを2018年度には実現することができた。 このほか、戦後の日本人残留者の問題を研究してきた中山大将が、その成果を単著『サハリン残留日本人と戦後日本:樺太住民の境界地域史』として上梓することができた。これらの、研究成果は、ペーパーとして公表される過程で、研究会、シンポジウムの形で発表されており、本科研メンバーの働きにより、日ソ戦争史研究は活況を呈していたと評価できよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科研メンバーは、2018年度も精力的に資料調査を行った。黒岩幸子は、千島における日ソ戦争について、札幌およびサンクトペテルブルクに滞在し、北海道立文書館、在ロシア各文書館の関係資料を収集した。田淵陽子は、ウランバートルに長期間滞在し、モンゴル国名誉回復組織委員会の刊行物を収集、分析した。浅野豊美は、在米の米軍資料を調査し、太平洋戦争時の米ソ協力の具体的な資料を把握し、レンドリースの実態に迫る分析を可能にした。 研究協力者の生田美智子は、女性のシベリア抑留に焦点をあて、在ロシア資料を調査し、日本人女性の移動記録を多数発見した。また、抑留現地を訪問して高齢者たちから日本人抑留者に関する情報を直接聞くことができた。同じく研究協力者の富田武は、本科研のロシア資料調査の過程で、国立社会政治史公文書館にて全連邦共産党中央委員会政治局会議議事録「特別ファイル」中の「最高裁案件小委員会」議事録を発見し、日本人「戦犯」銃殺刑の事実を明らかにした(富田武『シベリア抑留者への鎮魂歌』人文書院、2019年)。 このほか、各メンバーは、防衛研究所戦史資料室、外務省外交史料館、滋賀大学経済経営研究所、奈良県立図書情報館戦争記念文庫、北海道農業研究センター等にて関係資料を把握し、収集・分析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、科研メンバーによる研究会を2回開催する予定である。1回目は8月3日に開催し、花田智之氏(防衛研究所)を招いてノモンハン事件前後の日ソ関係に関する報告を、そのほか進捗の著しいメンバーからも報告を予定している。また、科研の成果報告書となる著書の章構成について議論する。2回目は、年度末に開催し、進捗が著しいメンバーの研究発表を予定している。 各メンバーは、引き続き、在ロシア、中国、韓国、米国および日本国内の資料収集・分析を進める。8月の研究会を経て各自の分担も、より明確になるはずである。 このほか、ロシア語文献の邦訳として、セルゲイ・クズネツォフ氏(イルクーツク大学)の日本人抑留に関する書誌、ニコライ・ヴィシネフスキー氏(サハリン博物館元館長)の『知取協定』の2冊の邦訳を刊行する予定である。
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Research Products
(37 results)