2019 Fiscal Year Annual Research Report
The 1970s as the Turning point of the Modern World System: The impact of the Oil Crises
Project/Area Number |
17H00933
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
秋田 茂 大阪大学, 文学研究科, 教授 (10175789)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 育人 奈良大学, 文学部, 教授 (20378491)
岸田 真 日本大学, 経済学部, 准教授 (40317277)
菅 英輝 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (60047727)
浅野 豊美 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (60308244)
佐藤 尚平 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (70597939)
佐藤 滋 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (90616492)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | グローバルヒストリー / 石油危機 / 輸出志向型工業化 / 緑の革命 / 国際金融の民営化 / アジア開発銀行 / アフリカの停滞 / 世界システム |
Outline of Annual Research Achievements |
1.当初計画に基づいて、4回の定例研究会を実施した。2.第一回研究会において、1970年代アジア国際秩序を再考する前提として、先行する1960年代の日米関係を経済外交面から再考した。「国際収支問題」「ドル防衛」を「めぐる日米交渉の過程を詳細に検討することで、日米関係が、従属的なジュニア・パートナーシップから相互補完的な構図へと変換するプロセスを解明し、それが1970年代の日本の対アジア外交やADB増資問題にも反映されていた点を確認した。3.第二回研究会以降の議論において、1973-74年の第一次石油危機の世界経済やアジア諸地域への衝撃の大きさが、1979年第二次石油危機のそれと比較すると、相対的に小規模であること、さらに、第二次危機の影響は複合的であり、1980年代初頭に開発途上国が直面した経済危機(ラテンアメリカ諸国の債務危機・デフォルト)との接合、連続性で考える必要性が明らかになった。そうしたGlobal Southの停滞・全般的危機の中で、「東アジアの奇跡」(East Asian Miracle)を再考する点が認識できた。4.コロナ禍の制約もあるなかで、共同研究の枠組みと柱は、(1)国際金融制度の変容とオイルマネーの役割、(2)工業化戦略の成否と開発主義、(3)工業化の基盤としての農業開発・「緑の革命」の重要性、(4)冷戦体制の変容と石油外交、以上の4点に絞られてきた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.共同研究の第三年次において、4回の定例研究会を開催した。2019年5月の第一回例会では、本研究にとって不可欠な日本の政治経済を的確に把握するため、日本外交史研究が専門の高橋和弘氏(法政大学)の協力を得て、1960年代に日米経済外交を再考した。
2.夏休みの時期は各自が関連の資料収集作業を継続した。その作業の成果を、第二回から第四回までの定例研究会で、暫定的な英文Papersにまとめる作業を行った。
3.2020年3月にワシントンDCのWoodrow Wilson Centerで計画していた国際ワークショップは、コロナ禍での渡航制限とセンターの閉鎖のために延期せざるをえなくなった。代替措置として、当初、2021年3月に1年間延期してワシントンDCでの開催を企画したが、コロナ禍の継続により実施は不可能となった。そのため再度「繰り越し」を申請した上で、基本枠組を維持しながら、開催場所をドイツのハイデルベルク大学 Center for Cultural Studiesに変更して、コロナ禍が改善するなかで、最終的に2021年11月初頭に国際ワークショップを開催することが可能になった。ハイデルベルク大学で開催することにより、ドイツやスイスの大学・研究機関から参加した研究者から、当初の計画では予期していなかったヨーロッパの1970年代との「双方向的比較」に関する有益な助言・コメントを得て、本研究の視座・射程を広げることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初計画で最も重視してきたワシントンDCのWoodrow Wilson Centerでの国際ワークショップを2年遅れの2022年3月に現地で実現すべく、内外の研究協力者、特にアメリカ国内の諸研究者の協力を得ながら、準備作業を進めていく。ワシントン国際ワークショップ準備の準備作業として、2021年8月末に、ZOOMを活用したオンライン会議を実施したが、そこでの討議内容をさらに深めるため、日本側のメンバー間での定例研究会をオンラインで開催する。後半の2年間においては、1979年の第二次石油危機から1980年代初頭の世界経済の変容について重点的に検討を行うことにする。
|