2020 Fiscal Year Annual Research Report
The critical reconstruction of the "sovereignty" concept in historic Europe
Project/Area Number |
17H00934
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古谷 大輔 大阪大学, 人文学研究科, 教授 (30335400)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 はる美 東洋大学, 文学部, 准教授 (00540379)
渋谷 聡 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 教授 (30273915)
中本 香 大阪大学, 人文学研究科, 教授 (30324875)
中澤 達哉 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60350378)
佐々木 真 駒澤大学, 文学部, 教授 (70265966)
小山 哲 京都大学, 文学研究科, 教授 (80215425)
近藤 和彦 立正大学, 人文科学研究所, 研究員 (90011387)
内村 俊太 上智大学, 外国語学部, 准教授 (90710848)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 近世史 / ヨーロッパ史 / 国家形成 / 主権 / 複合国家 / 礫岩国家 / 複合君主政 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年の歴史学界で「複合国家」や「礫岩国家」のように語られる複合政体を前提としながら、「主権」概念の実態を再考すべく進められてきた。最終年度となる令和2年度はコロナウィルス対応から十全な討議が困難となったため、総括シンポジウムを令和3年5月に開催された日本西洋史学会第71回大会シンポジウムとして企画し直して実施、令和4年度に至るまで上記シンポジウムで得られた政治思想史など他の研究分野からの知見も踏まえ、最終成果の整理にあたった。その結果、近世ヨーロッパの実態に即した政治秩序として注目されている複合的な政治秩序の議論を踏まえた場合、「主権」概念の再考作業は、多様な来歴をもった地方の合同を実現した「核」を確認しようとする「複合政体の内包」局面の視点と地方の権利を担保した君主と地方の「関係」を確認する「複合政体の内包」局面の視点の双方向からの分析が必要との共通見解が確認された。前者であれば、近世の「主権」概念は多様な政治主体が絡み合う複合政体を相対化させようとした「内的主権」とでも呼ぶべき同時代の問題群の反映である。これに対して、後者であれば、「主権」概念は「レスプブリカ・クリスティアナ」と呼ばれた包括的なヨーロッパ秩序が瓦解した後に各地域が直面した安全/幸福の保証に関連する問題群の反映である。本研究は、近世に「主権」という言葉で語られたこれら問題群が、君主と人民との関係を再定義する動員となることを確認したが、本研究では主にこの再定義の過程を「最高の執行権者」とされた君主とその周辺から確認する作業に終始した。他方で近世に言語化された「主権」概念は人民にも横領され、人民による統治の復活を求める「人民主権」も登場しており、本研究はその検討が今後の学界で求められる新たな研究課題となることも確認した。これらの成果は、国内外の歴史学界で総合的な議論を求めるべく活字化を予定している。
|
Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(58 results)