2018 Fiscal Year Annual Research Report
地理的マルチレベル現象の解明に向けた基盤的データの構築
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17H00947
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
埴淵 知哉 中京大学, 国際教養学部, 教授 (40460589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村中 亮夫 北海学園大学, 人文学部, 准教授 (10434713)
矢部 直人 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (10534068)
中谷 友樹 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (20298722)
保田 時男 関西大学, 社会学部, 教授 (70388388)
山内 昌和 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 准教授 (90415828)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マルチレベルデータ / インターネット調査 / 回収率 / 国勢調査 / 社会調査法 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に、これまでの成果を踏まえた中間報告としての書籍の刊行、昨年度末に実施したインターネット調査の分析、そして2020年度の本調査に向けた予備調査を実施した。 書籍では、国勢調査や訪問面接調査などが直面している未回収の増加や、それが地域分析に与える影響を整理するとともに、新たな調査法として普及してきたインターネット調査の学術利用、特に地理学や地域分析における可能性を多面的に検討した。全体として、調査誤差の問題は地域分析にとって無視できない問題となっていること、インターネット調査は課題を抱えつつも学術利用に一定の有効性があることを指摘した。 次に、昨年度末に実施した登録モニターに対するウェブ調査のデータを用いて、国勢調査への回答状況を分析した。近年大きな問題となっている国勢調査の「不詳」がどのように起こるのかを、未提出者の属性や意識の面から分析した結果、若年層や未婚、短期間居住などが関連していること、そのなかで年齢が最も根本的な要因であること、プライバシー意識は関連していないこと、国勢調査への理解度が強く関係していることなどを明らかにした。 さらに、2019年1月から2月にかけて、東京都心部の登録モニター全数に対するウェブ調査を実施した。インターネット調査では一般的でない全数調査をおこなうことで、同調査法の課題である地理的な密度の低さが都心部ではどの程度克服できるのか、また割付をおこなわない場合にどのような偏りが生じうるのかを確認する作業を進めた。また、国勢調査の回答状況や、経済格差に対する意識、防災意識などの個々の調査項目についても初期の分析作業を進めた。ここで得た知見は調査法の基礎研究に活用するとともに、本調査の設計に利用する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年の本調査実施に向けて計画通り予備調査を実施し、多くの有用な知見を得たこと、また、これまでの成果をもとに中間報告としての書籍を刊行できたことなどから、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、2020年の本調査実施に向けて研究を進める。2019年度はそれに向けた準備期間であり、調査設計を本格的に進める予定である。倫理審査や設問募集の期間を考慮し、早めに調査の枠組みを確定させるとともに、調査票の作成作業に着手する。日本地理学会の大会などの機会を利用してこれまでの成果を発表するとともに、それを通じて本調査への研究協力者を募り、包括的な地理的マルチレベルデータに向けた取り組みを進める。
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Research Products
(16 results)