2020 Fiscal Year Annual Research Report
地理的マルチレベル現象の解明に向けた基盤的データの構築
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17H00947
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
埴淵 知哉 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (40460589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村中 亮夫 立命館大学, 文学部, 准教授 (10434713)
矢部 直人 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 准教授 (10534068)
中谷 友樹 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (20298722)
保田 時男 関西大学, 社会学部, 教授 (70388388)
山内 昌和 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 准教授 (90415828)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 統計調査 / インターネット調査 / 地理情報システム(GIS) / マルチレベルデータ / 回収率 / 国勢調査 / 社会調査法 / 人文地理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、2020年10-11月にかけて大都市を対象とした大規模インターネット調査を行い、それと比較可能な非大都市対象のインターネット調査と全国郵送調査もあわせて実施した。これは本研究の根幹をなす調査であり、合計で34,000名以上から回答データを収集した。同調査の設問には住民の地理的な意識や行動、社会生活全般における様々な項目が含まれており、多様かつ汎用性の高い個票データセットとなっている。そしてほとんどの回答者から詳細な住所情報の回答を得ており、ジオコーディング(経緯度への変換)および各種の集計単位(国勢調査町丁・字等など)との紐づけにより地理的マルチレベルデータを構築可能である。将来的には、同時期に実施された2020年国勢調査(小地域集計)データとの紐づけによる詳細な分析が見込まれる。また同データは2022年1月の公開を予定しているが、先行して共同研究者が個別テーマの統計分析を進めるとともに、全体として基礎的な集計結果と調査方法の説明を目的とした書籍の刊行に向けた作業に着手した段階である。 個票データの収集と並行して、それとの紐づけが可能な地域指標についても引き続き研究を進めた。主には、系統的社会観察を利用した街路景観の定量的評価と、国勢調査の信頼性にかかわる「不詳」問題の基礎研究である。前者については、クラウドソーシングに加えて、機械学習による景観画像の分類を利用した新たな近隣環境指標の作成に取り組んだ。後者については、国勢調査の未回収に起因する「不詳」増加が地域分析に与える疑似的な地域差の問題を可視化し、2020年調査の動向についても速報参考値をもとにした予察的検討をおこなった。以上に加えて、コロナ禍における人々の意識・行動に関するインターネット調査も急遽実施し、外出や消費行動の変化を遡及的に分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響が懸念されたものの、当初の計画通り2020年秋に本調査を実施することができた。データ収集と分析はほぼ予定通り進んでいることから、おおむね研究は順調に進展しているといえる。また、コロナ禍に対応して急遽インターネット調査を実施し、非接触性・迅速性の観点からこの手法の有効性を示すこともできた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度においては、収集済みデータの整理(データクリーニング、匿名化、調査概要の説明書作成など)を順次行い、2022年1月にデータアーカイブから公開する予定である。これに合わせて、本調査に関する方法と基礎集計結果を示した書籍の刊行、英文誌へのデータ論文の執筆、そして個々のテーマに関する実証分析の成果発表などを進めることで、同データの二次分析利用を広く呼びかける予定である。
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