2018 Fiscal Year Annual Research Report
Divided Democracies and Roles of Electoral System
Project/Area Number |
17H00971
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
山田 真裕 関西学院大学, 法学部, 教授 (40260468)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 幸男 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (30347257)
日野 愛郎 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30457816)
松林 哲也 大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (40721949)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | voting behavior in 2017 / ideological scale / image of prime minister |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度においては、前年度取得した衆院選後調査データの分析結果を学会報告や研究論文として公表した。主な知見としては、2017年衆院選における投票行動の規定要因として内閣業績評価と憲法改正、首相への評価が強く働いていること、安倍内閣に対する肯定的評価は安全保障と経済によって支えられているものの、否定的な評価は政治家不信やルールを曲げるような強いリーダーシップに対する不信から派生していること(山田2018,Yamada 2018,Maeda 2018)、政党のイデオロギー認知において世代間で格差があること(Hino and Endo,2018)、高齢世代は所得格差の縮小に賛成が多いのに対して若年層はそうではないこと、高齢世代内での意見対立は経済的地位に加えて教育程度や性別による影響が大きいこと(松林2018)などである。 安倍内閣への肯定的な評価において、ルールを曲げるような強いリーダーシップに対する寛容さが見られることは、ポピュリズム研究の観点からは重要である。ポピュリズムにおいては民主主義の制度に対する信頼よりも、リーダーに対する信頼が優越するからである。安倍首相のリーダーシップがポピュリズムと評されることはあまりないが、背景にはポピュリズムとの親和性があることが分析によって明らかとなった。また日野と遠藤の研究が明らかにしたように、政党のイデオロギー認知において世代間格差が存在することは、保守対革新、保守対リベラルといった対立構図に世代間での合意が難しいことを示している。また松林(2018)は高齢世代の意見が政治を支配するとみるシルバー民主主義論に対する批判となっている。高齢世代は必ずしも利害を共有していないし、格差是正に否定的なのはむしろ若年層なのである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アウトプットは順調に出ている。またデータの公開に向けての準備も順調に進んでいる。2017年衆院選調査の頑健性を確認するためのサーヴェイ調査も無事完了している。
|
Strategy for Future Research Activity |
年度内に2017年衆院選調査データを公開するための寄託作業を完結させる。また研究成果の出版に向けての作業を進める。
|
Research Products
(12 results)