2020 Fiscal Year Annual Research Report
Divided Democracies and Roles of Electoral System
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17H00971
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
山田 真裕 関西学院大学, 法学部, 教授 (40260468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 幸男 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (30347257)
日野 愛郎 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30457816)
松林 哲也 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (40721949)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イデオロギー / 投票参加 / データ公開 / パンデミック |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度における主な成果は以下である. 1)2017年衆議院総選挙後調査データを東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センターより公開した.この作業において中心的な役割を果たしたのは前田幸男である. 2) 山田真裕はCSESデータを含む調査データに基づいて,日本人のイデオロギーの態様と変化について分析し,その結果をHenrik Oscarsson and Soren Holmberg (eds.) Research Handbook on Political Partisanship (Edward Elgar Publishing Limited)の第18章"Partisanship and ideology in Japan."として刊行した.また2017年衆議院選挙調査後のフォローアップ調査として2019年に行った調査データをコードブックとともに公開した. 3) 松林哲也は境屋史郎との共著で国際査読誌European Journal of Political Economyに掲載した論文においてCSESデータを用い,所得の不平等が投票率に与える影響を分析し,所得の不平等が高所得層を投票から遠ざけ,低所得者層を投票へと動員することで投票参加における所得のバイアスを減少させること,このような効果は所得不平等な社会における票の買収によって説明されることを示した. 4) 日野愛郎はRobert A. Faheyとの共著論文において,新型コロナウィルスの世界的蔓延という今日の状況において,いかにプライバシーを保護するかという点において合意がないことが,パンデミックに対する人々の反応を調査することを妨げている可能性を論じている.この点は,今後の国際調査において重要な論点となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
英文業績の刊行はブックチャプター3点(Yamada,Masahiro. "Partisanship and ideology in Japan." In Research Handbook on Political Partisanship, ch.18; Yukio Maeda and Steven R. Reed. “The LDP under Abe.” Chapter. In The Political Economy of the Abe Government and Abenomics Reforms, Cambridge University Press; Robert A. Fahey, Airo Hino, and Robert J. Pekkanen. "Populism in Japan." In The Oxford Handbook of Japanese Politics, Oxford University Press), 国際査読誌への掲載論文3編(Ono, and Yamada 2020(掲載誌はPolitical Science Research and Methods) ; Matsubayashi and Sakaiya 2021 (European Journal of Political Economy); Curini, Hino, and Osaki 2020 (Government and Opposition)) と順調に進んでいる.調査データの公開も日本においていち早くなされ,関連業績も生んでいる(蒲島・境家『政治参加論』東京大学出版会,2020年など).他方で新型コロナウィルスの蔓延に伴い,共同研究や国際研究会の設定には支障をきたした.
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Strategy for Future Research Activity |
調査データの英語化はほぼ完成しつつあり,この公開も間近である.またCSES Module 5に該当する部分を寄託するためのテクニカルドキュメント作成は最終局面に至っており,これが完了すれば,日本のデータが国際比較データの中に加わることとなる. プロジェクトの最終年度である2021年度は,データがより多くの研究者に使われるよう注力するとともに,プロジェクトメンバーそれぞれのアウトプットも充実させていく.これまでのような英文によるパブリケーションに加え,邦語でのアウトプットも増やしていきたい.そのために研究会を開催していく.新型コロナウィルスの蔓延が収まれば対面で,そうでなければZoomなどを利用した遠隔での開催を行う. また2021年は衆議院総選挙が秋までに行われるので,新型コロナウィルスの蔓延という状況が有権者の政府評価にどのようにつながっているのかを分析するためにネット調査を実施する.この調査データによって,日本の有権者の政治的洗練性,すなわちその政府に対する評価がAchen and Bartels がいうところの 'blind retrospection' なのか否か,また政府評価の党派性バイアスがどの程度あるのかを明らかにしたい. よっておおまかな2021年度のスケジュールとしては,春は国際データの公開に向けた詰めの作業を行い,夏までに衆議院選挙調査の骨格を固める.そして調査後できるだけ速やかにデータの分析と分析結果の公表,研究業績の公刊を目指す.取得したデータについてもこれまでと同様に公開する方針で,作業を進めていく. またこのプロジェクトの知見を踏まえたうえでのさらなる研究の方向性について,広く議論する場を設ける.
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Research Products
(14 results)