2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Nuclear Non-Proliferation Regime and the Redefinition of Security Policies
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17H00972
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
岩間 陽子 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (70271004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小窪 千早 静岡県立大学, 国際関係学部, 講師 (00362559)
川嶋 周一 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (00409492)
吉田 真吾 近畿大学, 法学部, 准教授 (10705883)
合六 強 二松學舍大學, 国際政治経済学部, 講師 (10802910)
武田 悠 広島市立大学, 国際学部, 講師 (60638328)
友次 晋介 広島大学, 平和センター, 准教授 (90622019)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 核不拡散 / 軍縮 / 国際関係史 / 安全保障 / 中立 / 非同盟 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.定例研究会の開催:第11回2019年4月13日 Thomas Jonter(Stockholm University, Sweden)"The Key to Nuclear Restraint: The Swedish Plans to Acquire Nuclear Weapons during the Cold War”スウェーデンが核開発の意図を当初持っていたが、途中で放棄した経緯について報告を受けて討論した。ペーパーは邦訳してオンライン公開する予定で作業中;第12回2019年7月6日 市川浩(広島大学)「原子力“平和”利用と20世紀社会主義」ソ連が原子力の技術を「平和」政策として使っていた様子について報告を受け討論した。 2.2019年12月14日・15日に国際会議"The Neutrals and the Bomb: Neutral & Nonaligned States and Non-Proliferation”を開催した。スウェーデン、スイス、インド、ユーゴスラヴィア、アイルランドなど各国から研究者を招き、中立・非同盟諸国が、核不拡散体制成立に際して、自らの安全保障をどのように考え、どのように対応したかについて、報告・討論を行った。 3.日本の外交史料館所蔵の資料のうち、NPT署名の過程で重要であったものを収集しデジタル化した。これに武田悠がブリーフィング・ペーパーとして解説をつけ、「データベース日本外交史」にBriefing Paper 1 「核不拡散条約(NPT)の形成と日本」として掲載した。 4.日本のオーラル・ヒストリー:元外交官であり、長く日米関係に携わり、駐パキスタン大使も務めた沼田貞明氏のオーラルを実施した。このオーラル・ヒストリーは次年度以降も継続し、冊子などの形で公表する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際会議"The Neutrals and the Bomb: Neutral & Nonaligned States and Non-Proliferation”を開催し、これまでのヨーロッパ、アジアのアメリカの同盟国を超えて、研究の射程がスウェーデン、アイルランド、インド、ユーゴスラヴィアなど、中立・非同盟諸国にまで拡大した。この狙いは、アメリカの「核の傘」の拡大抑止に頼ることができない諸国が、NPTに加盟することにより、核オプションを放棄することと自国の安全保障との関係をどのように考えていたのかという点を明らかにすることであった。 会議の結果分かったことは、多くのヨーロッパの中立諸国には共通性があるということである。60年代中期には、核抑止力の取得コストが上がりすぎ、それにより安全保障が強化されるという感覚が希薄になってきた。むしろ、軍備管理・軍縮面で政治・外交力を発揮することが、国際社会における自国のステータス向上に通じ、安全保障の強化にもつながるという感覚が育ってきた。 他方、非同盟諸国は、60年代に大量に国連その他の国際機関に加盟し、ある種の「国際社会」の萌芽がみられたものの、これら諸国の安全保障上の脅威は全面核戦争ではなくローカルな脅威であることが多く、そのような脅威には小規模な核兵力でも意味があった。その結果、NPT加盟をためらい、核オプションを残したり、核開発に進む国もあった。全般的に非同盟諸国の対応は多様であり、ヨーロッパの中立諸国のような共通性は少なかった。今後それぞれの選択について、より詳細な研究を国際的に推進していきたい。 オーラルヒストリーに関しては、沼田貞明氏への聞き取りを継続して実施しており、既に多くの重要な証言を得ることが出来た。これについては、公開の準備も進めている。定例研究会、資料調査についても、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 定例研究会の継続:これまでの研究会のテーマは安全保障関係が多かったが、今後原子力技術・科学史の分野の専門家ともネットワーク拡大を目指して行きたい。 2. 中立・非同盟諸国への研究対象とネットワークの拡大:国際会議"The Neutrals and the Bomb: Neutral & Nonaligned States and Non-Proliferation”の開催により、研究ネットワークを拡大する足掛かりを得ることが出来た。今後はこれを活かし、中立・非同盟諸国のNPTと安全保障政策の再定義の関係をさらに検証していきたい。 3.オーラル・ヒストリーおよび外交史料公開の継続:従来の外交官オーラル・ヒストリーを継続しつつ、新しい試みとして、外交史料館で公開されている当該 期間の重要資料をピックアップして解説をつけてネット上で公開するブリーフィング・ペーパーのシリーズを開始した。現在、この英語版を作成して、米国ウィルソンセンターのホームページで公開するための準備を進めている。 4. 日本語出版:国内向けの核不拡散と安全保障問題の関連にする出版物公開を目指して、プロジェクトメンバーと研究協力者での執筆を進めたいと考えている。
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Research Products
(18 results)