2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H00980
|
Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
西條 辰義 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 教授 (20205628)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 裕之 大阪大学, 工学研究科, 講師 (00638512)
原 圭史郎 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (30393036)
上須 道徳 大阪大学, COデザインセンター, 特任准教授(常勤) (50448099)
小谷 浩示 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 教授 (80422583)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | フューチャー・デザイン / 世代間持続可能性ジレンマゲーム / 持続可能性 / エネルギー / 地域への愛着 |
Outline of Annual Research Achievements |
被験者を用いる実験ラボやフィールドでの実験、さらにはそれらの結果を受けての実践を以下のように実施している。 高知工科大学の学生を用い、世代間持続可能性ジレンマゲームにおいて、3人の被験者のうち、一人を仮想将来人にすることによって、持続可能な選択をする世代の数が倍増することを発見している。この効果をアジアで人口を含めて拡大する地域としてバングラデシュを選び、同様の実験を実施したところ、都市域であるダッカではほぼその効果がないことを観測している。次に、中国北京郊外における一般家計のエネルギー消費環境技術導入意思決定に関するフィールド調査・実験を実施している。とりわけ、北京における低品質の石炭の燃料による大気汚染は深刻である。そのため、高品質の石炭を用いる新たなストーブの導入の要因を検討し始めている。 水グループは、ベトナム・ホーチミン市において研究者および院生を中心とする人々を集め、ホーチミン市における水の需要・供給に関わるフューチャー・デザイン(FD)実践を実施している。様々な水環境問題の緊急度に関して、質問項目ごとに回答者の認識を整理し、特に安全かつ十分な飲料水の確保について関心が高いことを発見している。 エネルギーグループは、大阪府吹田市において、エネルギーシステムのあり方をテーマにFDとシナリオ設計を組み合わせた住民参加によるワークショップを複数回実施し、提案内容の変化などについて分析を進め、FDの効果を検証している。つまり、全員が仮想将来人になるグループのほうが持続可能な提案をするのである。 北海道大沼地域において、地域の将来像を創出するためのワークショップ(WS)を開催し、FDの効果の評価を行っている。「将来の地域に対する愛着」を新たな評価の視点として導入し、WS前後のアンケート調査からFDを活用したWSを通じて、将来の地域に対する愛着が有意に上昇するのである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年9月、バングラデシュのダッカにおいて、都市域と非都市域におけるセロトニンレセプターのタイプの違いをみるため、年配および若い方のsalivaを集め、遺伝子解析をする予定であったが、当初の予想に反し、被験者の確保、遺伝子解析をするダッカにおける研究所との調整に時間を要し、本実験の実施が困難となった。再度日程調整を行い、平成30年3月に現地調査を延期して実施することとなった。そのため、年度を超えて研究を超えて研究費を融通していただき、当初の予定よりも遅れた部分があった。なお、その他の実験、実践は順調に推移している。
|
Strategy for Future Research Activity |
世代間持続可能性ジレンマゲーム実験においては、日本の高知では仮想将来世代(3人のうちひとりのみが仮想将来人)の効果があるものの、バングラデシュのダッカではその効果を観測していない。そのため、世代間持続可能性ジレンマゲームにおいてどのようなメカニズムをデザインすればよいのかが大きな課題となる。 一方、吹田市におけるエネルギー実践においては、思ったほどフューチャー・デザインの効果が現れていない。そのため、何が要因なのかを判別するための新たな実践デザインが必要となるであろう。 バングラデシュの都市域と非都市域では、人々の持続可能性にかかわる行動が大幅に異なっていることを観測している。この要因として、非都市域の人々が都市域に移動し、成功すればそこに残り、そうでなければ非都市域に戻るため、遺伝子レベルでの差がある可能性を考慮に入れ、遺伝子解析を始めている。当初の計画とは異なるものの、次年度では、この実験デザインを開始したい。 fMRI実験については、実験のデザインを開始したところであるが、次年度は、このデザインを実施すべく準備をしたい。
|
Research Products
(22 results)