2018 Fiscal Year Annual Research Report
Panel analysis of life and work
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17H00991
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
小塩 隆士 一橋大学, 経済研究所, 教授 (50268132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 能宏 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (30224611)
稲垣 誠一 国際医療福祉大学, 赤坂心理・医療福祉マネジメント学部, 教授 (30526380)
神林 龍 一橋大学, 経済研究所, 教授 (40326004)
臼井 恵美子 一橋大学, 経済研究所, 准教授 (50467263)
後藤 玲子 一橋大学, 経済研究所, 教授 (70272771)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 主観的厚生 / 引退 / 貧困 / 就業 / 子育て |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大規模パネル調査である「くらしと仕事に関するパネル調査」(LOSEF)の第4回調査を実施し、「くらしと仕事」に関するパネル分析を行い、その結果に基づいて社会的厚生の向上につながる効果的な政策提言を行うことを目的としている。 2年目に当たる2018年度においては、上記LOSEF第4回調査を12月に実施した。現在、過去3回分の調査から得られたデータと連結し、パネル・データ・ベースを構築する態勢を整えつつある。また、第3回までのデータに基づいて行ったパネル分析の結果を論文・学会等で積極的に行った。妊娠知識が出産に対する主観的期待に与える影響に関する研究などが、最近の代表例である。 こうした作業と同時並行する形で、各種パネルデータを用いた実証分析も推進した。代表的な研究成果例としては、次の3つが挙げられる。第1は、健康面だけに注目した場合、高齢者の就業率を潜在的にどこまで引き上げられるかを示す、"health capacity to work"の水準とその時系列的な変化に関する研究である。第2は、教育と健康格差との関係に関するパネル分析である。学歴による健康格差の存在はよく知られているが、加齢によってその格差が拡大するかどうかについては議論が分かれる。本研究では、教育による健康格差の拡大傾向を確認するとともに,その傾向を媒介する要因として社会参加活動や余暇時間での運動が重要であることを指摘した。第3に、社会活動への参加が、生活習慣病の発症リスクをどこまで抑えられるか、また発症後の心理的適応(adaptation)をどこまで加速するかを検証した。その他にも、多くの研究成果を学術論文や学会報告、単行本の形で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2018年12月に実施したLOSEF第4回調査は、有効回答数4128件,回収率90.5%というかなり良好な収集結果となった。また、刊行した査読付き英文論文は9本であり、そのうち、インパクト・ファクター3以上が1本、2台が4本あった。さらに、学会発表が21件、うち国際学会が14件に上り、研究成果の社会的な発信が極めて積極的に行われた。また、health capacityに関する研究は、政府の未来投資会議(2018年10月22日)でも紹介され、政府内の政策論議にも一定の影響を及ぼしたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に当たる本年度においては、昨年度に実施したLOSEF第4回調査のデータ・クリーニングを行ったうえで、過去3回分の調査から得られたデータと連結し、パネル・データ・ベースを構築する。そして、本研究の重要な目的である、出産・子育ての行動分析、社会経済的地位の親子間継承、主観的厚生の変動要因、就業行動の動学的メカニズム、貧困リスクの発生要因、引退・介護のライフスタイル・健康への影響等に関するパネル分析を本格的に展開する。実証分析に当たっては、LOSEFのほか、別途、目的外利用申請によって入手する「中高年者縦断調査」や「国民生活基礎調査」等の個票を活用し、上記のテーマに基づく実証分析を同時並行して進める。本年度は最終年度なので、研究成果をメンバー間でこれまで以上に共有するとともに、査読論文や学会報告、あるいは政府の審議会・研究会等での紹介を通じて社会に向けて積極的に発信することに努める。
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